「あいしん葬祭」は、 穏やかな最期を願う全ての人のためのメディアです。

還骨法要と浄土真宗の正しい知識|流れ・マナー・準備まで徹底解説!

花や香炉が供えられた仏壇の前で祈りを捧げるための祭壇
宗派

大切なご家族を見送った後、「還骨法要や浄土真宗の場合の進め方がわからない」と悩む方は少なくありません。

初めての経験だからこそ、何をどのように準備し、どんな意味やマナーがあるのか不安を感じるのは当然です。

この記事では、還骨法要と浄土真宗に焦点をあてて、その基本的な流れや準備、気をつけたいポイントまで詳しく解説します。

疑問や不安を解消し、ご家族が心穏やかに故人を供養できるよう具体的な手順とマナーをご紹介しますので、ぜひ続きをご覧ください。

還骨法要 浄土真宗とは何か

障子のある和室に設置された仏壇、供えられた線香や花が映える

還骨法要は、ご遺骨をお墓や納骨堂に納める際に執り行われる仏教の儀式の一つです。

浄土真宗でも還骨法要は営まれますが、ほかの宗派と異なる特徴もあります。

遺族にとっては、故人を偲ぶ大切な機会となり、家族の絆を深める場ともなります。

還骨法要の基本的な意味

還骨法要とは、火葬を終えたご遺骨をご自宅に迎えたり、納骨の際に仏さまの御前で行う法要のことを指します。

この法要のルーツは、故人が無事に現世からあの世へと旅立つことを祈り、ご先祖様や仏さまに感謝の気持ちを伝えるという意味合いがあります。

  • 火葬場からご遺骨が戻る際に自宅で行うケース
  • 納骨堂やお墓へ納める際に現地で執り行うケース
  • 還骨法要と併せてお斎(おとき)を設ける場合もある

このように、還骨法要は葬儀の流れの中で重要な儀式となっています。

浄土真宗における還骨法要の意義

浄土真宗では、亡くなられた方は阿弥陀如来のご本願により、臨終と同時に浄土へ往生すると教えられています。

そのため、他宗のような「現世からあの世への送り」の意味よりも、故人がすでに仏さまとなったことを改めて家族で受け止める大切な機会と捉えます。

他宗の還骨法要 浄土真宗の還骨法要
故人の冥福や成仏を祈る 浄土に往生したことに感謝し、仏縁を深める
ご遺骨を清め、霊を慰める 遺族が仏法にふれ、命の尊さを心に刻む

このように、浄土真宗の還骨法要は、仏さまに見守られて生きていることを改めて感じる時間といえるでしょう。

初七日と還骨法要の関係とは

還骨法要と初七日は密接に関係している場合が多いです。

初七日とは、故人が亡くなった日から7日目に行う法要のことですが、現代では家族の負担や参列者の都合を考慮し、葬儀当日に初七日法要と還骨法要を一緒に行うことも一般的です。

  1. 昔は、葬儀後すぐに還骨法要・自宅安置
  2. 初七日は亡くなって7日目に別途執り行う
  3. 現在は、火葬後直ちにまとめて両方の法要を済ませる家が多い

浄土真宗でも、この流れや形式に沿って還骨法要や初七日法要を柔軟に進めています。

家族や親族が集まりやすい時に、故人を偲びつつ仏さまやご先祖さまへの感謝を伝えられる大切な儀式です。

還骨法要 浄土真宗の流れと手順

伝統的な仏壇の祭壇に供えられた香炉や金の装飾が施された仏具

還骨法要は、火葬が終わった後にご遺骨をご自宅へ迎え入れ、浄土真宗の教えに則って故人を偲び、仏前で供養する重要な儀式です。

浄土真宗の還骨法要においては、厳粛な中にも仏の教えと家族の思いが込められています。

以下では、還骨法要の各工程や手順を順番にご紹介します。

後飾り祭壇の準備方法

自宅で還骨法要を営む際には、後飾り祭壇の準備から始めます。

後飾り祭壇は、落ち着いた場所に仏壇とは別に設置し、白布を掛けて清らかな雰囲気を整えます。

祭壇には、ご遺骨、仏飯、花、灯明、線香などを用意し、故人が迷わず安らかに帰れるよう心を込めて飾ります。

  • 祭壇を置く部屋は掃除しておく
  • できるだけ高い位置に祭壇を設置する
  • 周囲に物を置きすぎず、清潔感を保つ
  • 故人が好きだった花や写真などを添えても良い

遺骨と位牌の安置方法

浄土真宗では、ご遺骨と位牌を後飾り祭壇に並べて安置します。

遺骨は中央、位牌はその右側、遺影は左側に置くのが一般的です。

また、線香・ロウソク・供物も祭壇のバランスを見て配置します。

祭壇の中央 右側 左側
ご遺骨 位牌 遺影

これにより、故人を中心に家族が気持ちをひとつにして手を合わせることができます。

お清めの儀式を行う理由

還骨法要でのお清めの儀式には、家族や参列者の心身を清らかにし、心新たに故人と向き合う意味があります。

浄土真宗では「穢れ」を重視しませんが、手洗いや軽いお清めの作法をするのは、あくまでも気持ちを落ち着かせ、法要に臨むための準備です。

地域によっては、ご遺族が静かにお茶やお水を口に含んで気持ちを整えることもあります。

浄土真宗の読経と供養の流れ

還骨法要では、僧侶が読経を行い、阿弥陀仏へ念仏を捧げます。

主に「正信偈(しょうしんげ)」や「念仏」、「和讃」など浄土真宗ならではのお経が唱えられます。

僧侶が読経する間、ご家族や参列者も合掌して心を合わせるのが一般的です。

供養の際には、あらかじめ用意したご本尊、仏具、供物の配置にも気を配りましょう。

親族や参列者による焼香の手順

焼香は、仏前で故人の冥福を祈る大切な時間です。

浄土真宗では焼香の回数は一回が基本とされます。

  1. 焼香台の前に立ち、軽く一礼します
  2. 抹香を軽くつまみ、香炉に静かにくべます
  3. 合掌し、心を込めて祈ります
  4. 再度一礼して席へ戻ります

ご遺族や参列者全員がこの流れで順に焼香を行い、故人への想いを胸に供養します。

次の初七日法要へのつなぎ方

還骨法要が終わった後は、故人の霊が安らかに過ごせるように初七日法要の準備を進めます。

初七日法要までの間は、後飾り祭壇やご遺骨を整え、仏前に日々お花やお水を供えて過ごすのがよいでしょう。

また、親族と相談し日取りや案内状の手配、僧侶の手配なども早めに確認しておくと安心です。

こうした丁寧な準備を通して、浄土真宗の教えに沿った供養が自然と身につきます。

還骨法要 浄土真宗におけるお布施と香典のマナー

花や香炉が供えられた仏壇の前で祈りを捧げるための祭壇

還骨法要は、故人が荼毘に付された後、自宅やお寺に遺骨を納める際に行われる重要な法要です。

浄土真宗においても、ご家族や関係者が集まって厳かな気持ちで故人を偲びます。

この法要に参列する際には、お布施や香典、服装など、いくつかのマナーを守ることが大切です。

ここでは、浄土真宗の還骨法要におけるお布施と香典の相場や渡し方、服装の注意点について解説します。

浄土真宗のお布施の相場と包み方

浄土真宗の還骨法要で僧侶にお渡しするお布施は、地域やご家庭によって多少異なりますが、一般的な相場があります。

還骨法要の場合、お布施は1万円から3万円程度が目安とされています。

お布施の金額については、無理のない範囲で感謝の気持ちを込めて包むことが大切です。

包み方にもマナーがありますので注意しましょう。

金額 表書き 包み方
1万円〜3万円 お布施 白い封筒または奉書紙

表書きは「お布施」とし、水引は基本的につけません。

また、裏面には自分の名前と住所を記載するのが一般的です。

新札を避け、折り目のついたお札を使うことで、十分な配慮を示すことができます。

香典の金額設定と渡し方

還骨法要での香典は、四十九日や一周忌と比べてそれほど高額にする必要はありません。

香典の相場は3,000円〜5,000円程度が一般的です。

浄土真宗では「御霊前」ではなく、「御仏前」や「御香資」などの表書きを利用します。

  • 表書き:「御仏前」または「御香資」
  • 水引:黒白または双銀
  • 金額:3,000円〜5,000円

香典を渡す際は、袱紗(ふくさ)に包んで持参しましょう。

受付や僧侶へ直接手渡す場合も、丁寧に挨拶をすることを心掛けてください。

また、香典袋には名前と住所を忘れずに記入しましょう。

法要における服装の注意点

還骨法要に参列する際の服装は、控えめで落ち着いたものを選ぶのがマナーです。

喪服が一般的ですが、平服でよいとされている場合は黒や濃紺、グレーなど暗めの服装をおすすめします。

小物や靴なども、派手な色味は避けるよう注意しましょう。

男性は黒いスーツに白いワイシャツ、黒のネクタイが基本です。

女性は黒いワンピースやスーツ、肌の露出が少ないものを選びましょう。

アクセサリーは避けるか、パールのネックレス程度に留めると無難です。

お子様が参列する場合も、なるべく落ち着いた服装を心掛けてください。

還骨法要 浄土真宗の準備と後片付け

お供えの花と線香が焚かれた仏壇で厳かな雰囲気の供養の場

還骨法要は、火葬が終わりご遺骨がお寺や自宅に戻る際に行う大切な法要です。

浄土真宗では、還骨法要を通じて故人を偲び、ご先祖への感謝の気持ちをあらためて確認します。

この章では浄土真宗の還骨法要の準備から、法要後の後飾り祭壇の片付けまで、押さえておきたいポイントを順番にご紹介します。

法要前に必要な準備リスト

還骨法要を円滑に進めるためには、事前の準備が重要です。

浄土真宗で執り行う場合、以下のような事前準備が必要となります。

  • 僧侶への法要依頼と日時調整
  • 自宅またはお寺での会場準備
  • 後飾り祭壇の設置
  • ご本尊や荘厳(仏具)の用意
  • お供え物(ご飯、水、花、果物など)の準備
  • 参列者への案内と人数の把握
  • お布施や御膳料の準備
  • 故人の遺影やお位牌などの準備

とくに、浄土真宗では線香やローソクの備え方、仏壇の開閉にも作法がありますので、事前に確認しておくと安心です。

ご家族で役割分担しながら準備を進めると、当日もスムーズに法要が行えます。

後飾り祭壇の正しい片付け方法

還骨法要終了後は、後飾り祭壇を片付けて後祭壇や仏壇へ遺骨を安置します。

浄土真宗の場合、祭壇の片付けにはいくつかのポイントがあります。

片付ける順番 注意点
1. お供え物の下げ方 果物や菓子などはなるべく家族でいただきます。
2. 飾り仏具の片付け 仏具はやさしく拭き、ほこりを取ってから片付けましょう。
3. 後飾り壇の解体 レンタルの場合は業者へ返却、自作の場合は丁寧に収納します。
4. 遺骨の移動 仏壇(本位牌がある場合)や専用の祭壇へ穏やかに移します。

また、片付ける際は感謝の気持ちを忘れず、家族全員でお参りした後に行うのが理想的です。

仏具やお供え物の配置や下げ方など、分からない点があれば菩提寺の住職に相談することもおすすめします。

浄土真宗ならではの還骨法要の特長に関する考察

障子のある和室に設置された仏壇、供えられた線香や花が映える

これまで還骨法要についてさまざまな観点からご説明してきましたが、浄土真宗で執り行われる還骨法要には、他宗派とは異なる特徴があります。

まず、浄土真宗では亡くなられた方を阿弥陀如来のはたらきによって浄土に導かれた「仏」として考えます。

そのため、故人の冥福を祈るというよりも、阿弥陀如来への感謝と、故人を偲びつつご本尊に向かって手を合わせることが中心となります。

また、お経も独自のもので、浄土真宗の正信偈や和讃が用いられることが多い点が特長です。

還骨法要の儀式そのものも、形式にとらわれ過ぎず、自宅や寺院の本堂で執り行われるケースが増えてきています。

故人への思いを大切にしつつ、阿弥陀如来の教えにしたがって生きるという姿勢が、浄土真宗の還骨法要からもよく表れています。

一般的な還骨法要との違いを理解し、宗派の教えに即した形で供養を行うことが大切です。