喪中や葬儀でお花代を包む場面は慌ただしく、不安になることが多いですよね。
表書きや筆記具、氏名の並び方など、些細に見えるポイントで失礼になってしまうのが心配という声をよく聞きます。
この記事では正しい封筒の選び方から中袋の記入、よくある間違いまで具体的に解説します。
表書き文言や漢数字の使い分け、渡し方に応じたマナーなど見出しごとに手順を示すので初めてでも安心です。
まずは基本の表書きと筆記具選びからチェックしていきましょう。
目次に沿って必要な項目だけ確認すれば、時間がないときでも失礼なく準備できます。
続きで詳しい書き方を順にご紹介します。
お花代の封筒書き方
お花代を包む際の封筒の書き方は、故人や遺族への敬意を示す重要なマナーです。
金額や表書き、差出人の書き方を誤ると失礼に当たることがあるため、基本を押さえておきましょう。
表書きの文言
お花代の表書きには、状況に応じた言葉を選ぶことが大切です。
仏式の葬儀では、通夜や告別式の前なら「御霊前」を用い、法要後や仏壇に供える場合は「御仏前」を選びます。
宗教が不明な場合や、遺族の意向がわからないときは「お花料」や「御供花料」といった中立的な表現が無難です。
略語や俗語は避け、略さずに丁寧な表記にしてください。
筆記具の選び方
筆記具は見た目と格式を左右しますので、場にふさわしいものを使うと良いでしょう。
黒い墨色で書くことが基本ですが、にじむ筆記具は避けてください。
| 用途 | おすすめ |
|---|---|
| 正式な不祝儀袋 | 筆ペン黒 |
| 手持ちの簡易封筒 | 黒ボールペン太字 |
| 細かい字を書く場面 | サインペン黒 |
筆ペンは書き慣れたものを選ぶと文字が美しく仕上がります。
万年筆や蛍光色のペンは避け、墨色がはっきり出る道具を使ってください。
氏名の表記
氏名はフルネームで書くのが基本です。
姓と名は漢字で明瞭に記載し、読みが難しい場合は裏面や中袋にふりがなを添えると親切です。
差出人の位置は封筒の表面の下部、または裏面の中央が一般的ですが、既製の不祝儀袋には指定の記入欄がある場合がありますので確認してください。
個人名に続けて肩書きや関係を添える必要は基本的にありませんが、会社として出す場合は法人名と代表者名を明記します。
連名の並び
複数名で包む際は、並び順にも配慮が必要です。
親族や年長者がいる場合は年齢や地位の高い順に並べることが多く、目上の方が右側になるようにします。
友人同士や同僚の場合は、代表者を右端に書き、残りは五十音順や役職順に記すとまとまります。
人数が多すぎるときは、代表者名と「外一同」や「他一同」と書いてまとめる方法が実用的です。
数字の書き方(漢数字・算用数字)
金額は改ざんを防ぐため、漢数字の大字で書くことが望まれます。
具体例としては「金壱萬円」「金参千円」といった表記が一般的です。
算用数字(阿拉伯数字)はカジュアルに見えるため、公式な場では避けたほうが安全です。
万単位の表記に迷う場合は中袋に書く際、漢数字で明確に記載しておくと安心です。
中袋の記入項目
中袋には金額と差出人名を必ず記載してください。
記入項目は最低でも「金額」「氏名」「日付」の三点です。
住所や連絡先を求められることもあるため、必要に応じて中袋に記入しておくと良いでしょう。
金額は漢数字の大字で、氏名はフルネームで書くのが一般的です。
お札の向き
お札は折らずに、向きを揃えて入れることが礼儀です。
不祝儀の場合は肖像画が封筒の表側に向かないようにセットするのが礼儀とされています。
向きを統一することで受け取る側が扱いやすく、丁寧さも伝わります。
新札はお祝い用とされる場合が多いため、汚れのない清潔なお札を使うと良いでしょう。
よくある間違い
次に挙げる点は間違いやすく、注意が必要です。
- 表書きを略す
- 算用数字で金額を書く
- 薄い色のペンを使う
- 中袋に金額を書かない
- お札の向きがバラバラ
これらを避けるだけで、礼を尽くした印象になります。
封筒の種類
お悔やみの場で使われる封筒には、目的や宗教に応じていくつかの種類があります。
ここでは代表的な三種類を、用途と選び方のポイントとともにわかりやすく説明します。
不祝儀袋
不祝儀袋は通夜や葬儀で香典を包むために専用に作られた袋です。
表書きや水引の色柄が決まっているため、場にふさわしいものを選ぶ必要があります。
| 種類 | 用途 |
|---|---|
| 黒白の結び切り | 一般的な仏式の葬儀 |
| 双銀の結び切り | 格式の高い場面や宗教不問 |
| 黄白の結び切り | 浄土真宗など一部宗派 |
不祝儀袋は種類ごとに意味合いが異なりますから、まず宗派や葬儀の案内に目を通してください。
水引が印刷された簡易タイプもありますが、正式とされる場では実物の水引を用いたものが好まれます。
白無地封筒
白無地封筒はシンプルさが特徴で、表書きを自分で書く場合に使われます。
コンビニなどでも手に入りやすく、急なときに便利です。
- 急ぎで用意するとき
- 親しい間柄でカジュアルに渡すとき
- 郵送で送るときの簡易包装
ただし、目上の方や正式な場では白無地だけでは不適切に見えることがあるため、注意が必要です。
表書きの書体や墨の濃さにも気を配ると、失礼になりません。
中袋付き封筒
中袋付き封筒は内袋が付いており、金銭を直接入れずに中袋に入れて封をする形式です。
金額や差出人を中袋に記入するため、受け取る側が管理しやすい利点があります。
中袋があると郵送や持参の際に現金が落ちる心配も減り、安心して使えます。
中袋の有無は好みの問題だけでなく、地域の慣習や遺族の意向にも左右されるため、可能であれば事前に確認してください。
封筒の選び方
お花代の封筒は、失礼のない見た目と実用性を両立させることが大切です。
どなたに差し上げるか、宗教や渡し方によって適切な種類が変わります。
遺族との関係
遺族との関係が近いほど、より丁寧で上質な封筒を選ぶのが一般的です。
親族や長年親しかった友人の場合は、不祝儀袋の中でも落ち着いた上等なものを用いると気持ちが伝わりやすいです。
職場関係や顔見知り程度の場合は、シンプルで格式を備えた白無地や簡易タイプが無難です。
- 家族
- 親しい友人
- 職場の上司・同僚
- 近所の方・顔見知り
- 取引先・ビジネスパートナー
相手との距離感によって、表書きや差出人の書き方も変わりますので、封筒の格に合わせて丁寧に記入してください。
宗教・宗派
宗教や宗派により、忌み言葉や水引の色が異なるため、封筒選びに注意が必要です。
| 宗教 | 推奨封筒 |
|---|---|
| 仏教 | 黒白の不祝儀袋 |
| 神道 | 白無地または白封筒 |
| キリスト教 | 無地の白封筒 |
| 無宗教 | 白無地または黒白 |
ただし、宗派によって細かい慣習がある場合がありますので、可能であれば葬儀の案内や遺族に確認することをおすすめします。
色や水引が掛かっている封筒は、慶事用と間違わないように避けるのが無難です。
渡し方(手渡し・郵送)
手渡しの場合は、表書きが相手から見える向きで両手で差し出すのが礼儀です。
挨拶は簡潔に、かつ相手の負担にならない言葉を添えると安心されます。
郵送する場合は、封筒をさらに外封筒で包み、簡易書留など追跡が付く方法で送ると安全です。
郵送の際は外側に金額を書かないことと、差出人の住所氏名を明確にしておくことを忘れないでください。
どちらの方法でも、封をする前に中身と記入事項を最終確認してから渡すと安心です。
表書きと差出人の書き方
表書きと差出人は、お花代の意図を相手に正確に伝える重要な要素です。
形式を間違えると相手に失礼になる場合があるため、基本ルールを押さえておくことをおすすめします。
ここでは具体的な文字例と配置、法人や団体の場合の表記方法まで、実践的に解説します。
表書きの文字例
表書きは宗教や場面によって使い分けますが、読み手に意味が伝わることが最優先です。
仏式の葬儀における一般的な表書き例は、御霊前、御仏前、御供です。
御霊前は故人を偲ぶ気持ちを表す際に広く使われますが、宗派によっては御仏前を使うべき場合もあります。
なお、法事や納骨など仏式の時期が進んだ場面では御仏前を選ぶのが無難です。
神式やキリスト教式の場合は、掛け紙に使う語句が異なるため事前に確認してください。
例として、御花料や御供花といった表記も用いられますが、短く分かりやすい表現を選ぶと安心です。
差出人の配置
差出人は表書きの下部、もしくは封筒の裏側に書くのが一般的です。
一人の場合は右下に、家族や連名の場合は中央寄りにまとめるのが読みやすい配置です。
- 右下に個人名
- 中央寄りに連名
- 裏面に住所氏名
連名を並べる場合は目上の人を右側に書き、以降左へと続けるのが習わしです。
国や地域、慣習で差異があるため、迷った際は遺族に合わせるのが無難です。
法人名・団体名の表記
法人や団体でお花代を出す場合は、組織名を明確に表記してください。
個人名と同じ扱いで、表書きの下や封筒の裏に書きますが、略称は避けるほうがよいです。
| 場面 | 表記例 |
|---|---|
| 個人代表 | 山田太郎 |
| 夫婦名義 | 山田太郎 山田花子 |
| 法人名義 | 株式会社山田商事 |
社名の前に代表者名を添える場合は、社名の下に代表者名を小さめに書くと分かりやすくなります。
団体名で出す際は代表者の名前を併記すると、遺族が差出人を特定しやすくなります。
封筒に部署名や役職を書く場合は、正式名称で統一することを心がけてください。
中袋・金額・封入のルール
中袋は礼金やお香典を包む際の重要な要素です。
表の封筒だけでなく、中袋の書き方や金額表記も失礼のないよう配慮したいところです。
ここでは中袋の書式、金額の記載法、封入時の注意点を具体的に解説します。
中袋の書式
中袋はお金を直接入れる封筒で、外側の不祝儀袋や白封筒とセットで使います。
基本的には中袋の表面に金額を、裏面または左下に差出人名を記入します。
| 記入位置 | 記載内容 |
|---|---|
| 表面中央 | 金額 |
| 表面左下 | 氏名 |
| 裏面右上 | 住所 |
| 裏面左下 | 電話番号 |
金額は通常、表面中央に縦書きで記入しますが、横書きの封筒では横書きで書いて差し支えありません。
氏名は読みやすく、フルネームで書くのが無難です。
法人や団体で出す場合は、代表者名と会社名を明記します。
金額の記載法
- 漢数字で記入
- 金の字を付ける
- 旧字体を避ける場合あり
- 偶数や割り切れない額に注意
金額は改ざん防止のため、漢数字で書くのが一般的です。
例えば一万円なら「金壱萬円」や「金一万円」と書きますが、地域や場面によって表現が異なることに注意してください。
「金」の字を先頭につけることで金額であることが明確になり、安心感を与えます。
端数や中途半端な金額は避けるのが礼儀とされます。
封入時の注意点
お札は可能な限り新札に近いものを用意すると印象が良いです。
お札を折りたたむ場合は縦に二つ折りか三つ折りを避け、可能な限り平らな状態で入れてください。
札の向きは全て同じ向きに揃え、肖像が上または同方向になるようにします。
中袋に入れたら封をして、外袋に入れてから渡すか郵送してください。
封をする際はのり付けやシールで軽く閉じるのが一般的で、ホチキスやクリップは避けるべきです。
最後に金額と氏名を再確認し、封筒に汚れや破れがないかチェックしてください。
告別式やお通夜でのお花代は、表書きや筆記具、中袋の記入など細かい点で失敗が起きやすく、慌てると取り返しがつかないことがあります。
出発前にしっかり確認して、落ち着いて渡せるよう準備してください。
- 表書きが宗旨に合っているか(御霊前/御仏前など)
- 筆記具は毛筆または濃墨の黒か
- 氏名が中袋・表書きで一致しているか
- 連名の場合、並び順や肩書きを確認しているか
- 金額は漢数字・算用数字の扱いが適切か
- お札の向きと端のそろえ方が整っているか
- 封をした後の封緘や渡し方(手渡し・郵送)を決めているか

