大切な故人の位牌を、どう処分すればよいのか悩まれる方は少なくありません。
特に、浄土真宗の方にとっては位牌そのものの取り扱いや処分方法が他宗派と異なるため、戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「位牌の処分を浄土真宗ではどのように行うべきか」という疑問に寄り添い、必要な手順や費用、注意点をわかりやすく解説します。
また、宗派ごとの特徴や位牌の代わりとなる供養の方法についても詳しくご紹介し、不安や疑問を解消するお手伝いをいたします。
浄土真宗での位牌処分の正しい知識を身に付けたい方は、ぜひこの先もご覧ください。
浄土真宗での位牌の処分方法

浄土真宗では、他の宗派と異なり位牌を重視しませんが、お家によっては古い位牌が残っている場合や、他宗派からの改宗で位牌の処分に悩まれる方も多いです。
正しい知識をもとに、適切な方法で位牌を扱うことが大切です。
浄土真宗には位牌がない理由
浄土真宗では、ご先祖を位牌で祀るという考え方がありません。
これは、阿弥陀仏の教えを中心に据え、ご本尊である阿弥陀如来に帰依する信仰が基本だからです。
亡くなった方も仏の教えによって極楽浄土に導かれると考えられているため、魂が位牌に宿るといった思想がないのです。
そのため、浄土真宗では位牌を用意せず、別の形で故人を偲びます。
白木位牌の代わりに何を使うか
浄土真宗では、お葬式の際に一時的に用いられる白木位牌は、基本的に中陰期間までのものです。
その後は、「法名軸」や「過去帳」を用いてご先祖の名前や法名を記録・供養します。
- 法名軸:故人の法名(戒名)が書かれている掛け軸
- 過去帳:故人やご先祖の法名や命日などを書き記す帳面
これらを仏壇に安置し、ご本尊である阿弥陀如来と共にお祀りします。
法名軸や過去帳のお布施の相場
法名軸や過去帳を新たに作成する際には、お寺へのお布施が必要となるケースが多いです。
項目 | 相場(目安) |
---|---|
法名軸 | 1万円〜3万円程度 |
過去帳 | 5,000円〜1万円程度 |
地域やお寺によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
表書きは「お布施」または「法名軸御礼」などとするとよいでしょう。
例外的に位牌を処分する場合の手順
浄土真宗の考え方では位牌を用いませんが、何らかの事情で位牌を処分したい場合もあります。
処分の手順は以下の通りです。
- お寺に相談する(菩提寺もしくは浄土真宗の寺院)
- お焚き上げ等の供養を依頼する
- お布施を包む
- 終了後は新しい法名軸や過去帳に故人の法名等を記載する
処分を勝手に行わず、お寺に依頼するのが安心です。
家庭で燃やす等の自力処分はマナー違反とされています。
他宗派での位牌処分依頼の方法
他宗派の位牌を持っている場合、やはり浄土真宗ではそのまま祀ることを推奨しません。
処分方法には以下の選択肢があります。
- もとの宗派の寺院でお焚き上げ等の供養をしてもらう
- 菩提寺がなければ仏具店や葬儀社を通じて供養を依頼する
- やむを得ない場合は、自宅で手を合わせて別れを告げてからお寺に引き取ってもらう
処分の際は、手順やマナーに注意して依頼しましょう。
事前に費用の確認や、お願いする際の連絡方法も調べておくとトラブルを防げます。
位牌処分の一般的な方法と注意点

位牌を処分する際には、宗派や地域の風習を尊重しながら適切な手順を踏むことが大切です。
とくに浄土真宗では位牌の意味合いが他宗派と異なるため、処分方法や供養の仕方について理解を深めておく必要があります。
処分するにあたって、魂抜きやお焚き上げなどの一連の流れと、それぞれの注意点も押さえておくと安心です。
まず魂抜きを行う理由
位牌はご先祖様や故人の魂を宿すものとされている場合が多いため、いきなり処分するのではなく、まずは魂抜きの儀式を行うのが一般的です。
魂抜きを行わずに処分してしまうと、「故人への敬意を欠く」「未練が残る」といった心理的な負担にも繋がることがあります。
浄土真宗では、本来位牌に魂が宿るという考えは薄いですが、家族の気持ちやこれまでの習慣を考慮して、僧侶に読経や回向を依頼するご家庭も多いです。
安心して処分できるよう、魂抜きの儀式を行う理由をきちんと理解しておくことが大切です。
魂抜きの費用と僧侶への依頼
魂抜きの儀式は、お寺や僧侶に依頼するのが一般的です。
費用は1万円〜3万円程度が相場といわれていますが、地域やお寺によって異なります。
依頼先 | 費用目安 | 備考 |
---|---|---|
菩提寺 | 1万円〜3万円 | お布施という形が多い |
供養代行業者 | 1万円〜2万円 | 証明書などオプションあり |
お布施の金額や渡し方に迷ったら、直接お寺に相談するのが安心です。
また依頼の際には、宗派や位牌の数、希望日時などを具体的に伝えるようにしましょう。
お焚き上げで供養する手順
魂抜きが済んだ位牌は、お焚き上げによって丁寧に供養するのが一般的です。
お焚き上げを依頼する基本的な流れは、以下のとおりです。
- 菩提寺や供養業者にお焚き上げの依頼をする
- 位牌を持参または郵送する
- お焚き上げ当日に供養と焼却が行われる
- 希望に合わせて供養証明書などを受け取る
寺院や供養業者によって流れが若干異なる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。
また、浄土真宗の場合も必ず菩提寺に相談の上、適切な方法で供養を進めるようにしましょう。
お焚き上げの費用と依頼先の選び方
お焚き上げの費用は依頼先によって異なりますが、3,000円〜1万円程度が目安となります。
位牌の大きさや数によって追加料金が発生する場合もありますので注意しましょう。
依頼先を選ぶ際は、次のポイントを押さえておくと良いでしょう。
- 菩提寺または信頼できる寺院に相談すること
- 供養証明書や読経の有無をチェックすること
- 明朗な料金設定かどうかを確認すること
- 口コミや評判を参考にすること
特に初めて依頼する場合は、複数の業者や寺院を比較して選ぶと納得感が得られます。
自宅でお焚き上げする際の注意点
やむを得ず自宅でお焚き上げをしたいと考える方もいらっしゃいます。
しかし、住宅地では火災や近隣への煙、法律上の問題が発生するため、基本的には推奨されません。
どうしても行う場合は、必ず以下の点に注意してください。
注意点 | 内容 |
---|---|
消防署への確認 | 事前に相談し、許可が必要かどうか確かめる |
近隣への配慮 | 煙や匂いへの苦情を防ぐため、事前に説明する |
安全管理 | 消火器の用意や燃えにくい場所で行う |
できる限り菩提寺や専門の供養業者に依頼し、ご自身での処分は避けるよう心がけましょう。
位牌処分のベストなタイミング

浄土真宗において位牌は、故人の冥福を祈る象徴的なものですが、場合によっては処分を検討する必要が出てきます。
適切なタイミングで位牌を処分することで、ご先祖様への敬意や家族の想いも大切にすることができます。
傷んだ・壊れた場合の処分時期
長年使われている位牌が傷んだり、壊れてしまった場合は、速やかな処分を検討しましょう。
表面の文字が読めなくなったり、破損箇所が目立つなど、元のお姿を保てなくなった時が目安になります。
乱暴に扱ったり、無理に修復せず、専門の寺院に相談して適切に処分してもらうのがおすすめです。
位牌は家族にとっても大切な思い出の品ですので、処分前に家族全員で話し合うことも大切です。
お仏壇の買い替え時の位牌処分
お仏壇を新しく買い替えるタイミングで、古い位牌の処分を考えるご家庭も多いです。
特に、位牌がたくさんあって仏壇に収まりきらない場合や、新たな仏壇にあわせて整理する場合が該当します。
- 新しい仏壇への設置スペースが限られている場合
- 古い位牌と新しい先祖代々の位牌にまとめる場合
- 位牌のデザインを統一したい場合
浄土真宗では先祖代々の供養の心が大切とされていますので、位牌の整理も丁寧に行いましょう。
寺院や専門業者に位牌供養を依頼し、新しい仏壇で先祖をお祀りする準備をされると安心です。
遺品整理時に考慮する処分のタイミング
親族の他界後に遺品整理をする際、位牌の処分時期に悩む方も少なくありません。
遺族で集まり、形見分けや今後の供養の方法を話し合いながら、処分時期を決めていくのが一般的です。
状況 | 処分タイミングの目安 |
---|---|
家族全員が集まれる時 | 葬儀後や法要の際 |
他にお祀りする場所がない場合 | 遺品整理と同時に処分 |
お寺への相談を希望 | 住職のアドバイスを受けてから |
浄土真宗では個人の想いも大切にされますので、みんなが納得できるタイミングで進めることが大切です。
弔い上げを行うタイミングとは
弔い上げとは、一定期間の供養が完了し一区切りがついたことを意味します。
浄土真宗の多くの宗派では、33回忌や50回忌などの年忌法要で弔い上げが執り行われることが多いです。
弔い上げを終えた位牌は、寺院で供養してもらい処分するのが一般的です。
弔い上げをきっかけに、位牌だけでなくお仏壇や他の供養品も見直すご家庭も増えています。
年忌法要の際に寺院と相談して、最適な処分タイミングを決めるようにしましょう。
費用を抑えて位牌を処分する方法

位牌の処分を考える際、費用をできるだけ抑えたいという方が多いです。
浄土真宗では位牌そのものに霊が宿るという考え方は少ないですが、きちんと納得のいく形で供養や処分を行うことが大切です。
各方法の特徴や費用相場を理解して、自分に合った選択肢を見つけましょう。
位牌の送付供養と持込供養の違い
位牌処分の方法には、寺院などに直接持ち込む「持込供養」と、郵送で依頼する「送付供養」があります。
持込供養は、直接お寺や霊園に持参し、住職に読経を上げてもらう方法です。
一方、送付供養は郵送のため全国どこからでも依頼でき、遠方に住んでいても気軽に利用できるのがメリットです。
- 持込供養:寺院に直接依頼できる安心感がある
- 送付供養:移動の手間や交通費が不要
- ライフスタイルや居住地にあわせて選べる
自分の都合や信仰心にあわせて、より納得できる方法を選びましょう。
お焚き上げと永代供養の費用相場
位牌の供養には「お焚き上げ」と「永代供養」があり、それぞれ費用感が異なります。
お焚き上げは、位牌を燃やして供養する方法です。
永代供養は寺院に位牌や故人を長期的に供養してもらうもので、管理料がかかる場合もあります。
供養方法 | 費用目安 | 特徴 |
---|---|---|
お焚き上げ | 3,000円~10,000円 | 読経後に焼却。低コストで依頼しやすい。 |
永代供養 | 10,000円~30,000円 | 寺院が長期的に管理する。やや高額だが安心。 |
どちらの方法も、供養内容や寺院によって金額が異なるため事前確認が大切です。
遺品整理業者と位牌処分を一緒に依頼するメリット
遺品整理業者に依頼することで、位牌の処分とその他の遺品整理を同時に進めることができます。
自身で手配する手間を軽減し、時間や労力を節約できる点が大きなメリットです。
特に遠方に住んでいる方や、時間に余裕がない場合は大いに助かります。
また、多くの遺品整理業者は供養付きのプランを用意しているため、宗派にあった方法で位牌を丁寧に扱ってくれます。
一括して依頼することで料金が割安になるケースもあるので、複数の業者やサービス内容を比較して選ぶと良いでしょう。
浄土真宗での位牌処分に関する結論

浄土真宗においては、一般的に位牌を重視しない教義が特徴です。
そのため、他の宗派のような「魂抜き」や「お焚き上げ」の儀式を必要としないのが大きな違いです。
すでにその役目を終えた位牌がある場合は、無理に処分方法にこだわる必要はありません。
ただ、心情的な区切りや、家族の気持ちを大事にしたい場合は、お寺へ相談し供養や適切な処理を依頼するのも一つの選択です。
自宅での保管や処分について不安があるときは、まず菩提寺に相談するのが安心です。
浄土真宗の教義に従って、無理なく、家族が納得できる形で位牌の処分を進めることが最も大切です。