社員の親族が亡くなったときは、遺された社員も会社も慌ただしく、何をすべきか迷いがちです。
香典を会社で負担するべきか、金額の目安や役職別の扱い、包み方や会計処理まで分からない点が多いのではないでしょうか。
この記事では会社支給の可否から具体的な金額目安、表書きや渡し方、支給手続きや忌引の運用まで、実務で役立つポイントをわかりやすく解説します。
最後に社内で今すぐ確認すべきチェックリストも用意しているので、まずは落ち着いて本文をお読みください。
社員の親族が亡くなった場合の香典
社員の親族が亡くなった際の香典は、個人の礼儀と会社の対応が交差する重要な慣習です。
会社としての支給や取りまとめ、個人での参列など、事前にルールを定めておくと混乱が少なくなります。
会社支給の可否
多くの企業では弔慰金や香典の支給を福利厚生の一環として定めています。
ただし支給対象や金額、申請方法は企業ごとに異なるため、就業規則や社内規定の確認が必要です。
支給対象は一般に配偶者や子、親など近親者に限定される場合が多いです。
社内で代表して香典を包む場合は、会社名での表記や部署名の併記が行われることがあります。
税務上の取り扱いについては上限や非課税の基準があるため、経理部門と相談してください。
金額目安
会社が支給する弔慰金の目安は小規模な規定で5千円から、中規模では1万円から3万円の範囲が一般的です。
個人として包む香典の目安と会社支給額は必ずしも一致しないため、社内規程を優先してください。
親等が近いほど金額が高くなる習慣があり、配偶者や子の場合は高めに設定されることが多いです。
ただし業界や地域、会社の慣行で上下するため、標準を鵜呑みにせず柔軟に対応することが望ましいです。
役職別の取り扱い
役職や職位に応じて会社が包む香典の額や代表者の扱いが変わることがあります。
| 役職 | 典型的な取り扱い |
|---|---|
| 一般社員 | 会社名と社員名 |
| 課長クラス | 部署名併記 |
| 部長以上 | 役職名併記 |
| 役員 | 代表名での献金 |
表に示したのはあくまで一例です、社内規定を最優先にしてください。
代表で参列する立場の人には、事前に渡す手順や渡し方の確認をお願いします。
連名で包むルール
複数人で香典を包む際は、代表者の名前を表に大きく書き、別紙や中袋に連名を記載する方法が一般的です。
会社や部署でまとめる場合は、会社名や部署名を封筒の表に記載すると受け取り側が分かりやすくなります。
金額の内訳を示す必要がある場合は、別紙に人数と個々の負担額を書いて渡すと透明性が保てます。
連名の順序は通常、社内での階級や年長者を先にする慣行がありますが、社内ルールに沿って調整してください。
渡し方とタイミング
香典は通夜か葬儀告別式の受付で直接渡すのが正式な方法です。
受付が設けられていない場合や弔問が短時間で済む際は、事前に遺族か担当者と渡すタイミングを相談すると失礼がありません。
会社代表として渡す場合は、受付の後に遺族へ一言お悔やみを述べるのが礼儀です。
遠方で参列できない場合は、後日郵送や葬儀後の弔問で手渡すことも可能です。
香典以外の弔意対応
- 弔電送付
- 供花手配
- 弔慰金の支給
- 社内での香典取りまとめ
香典以外の対応は会社の規模や文化で異なります、事前に方針を決めておくと迅速に動けます。
供花や弔電は故人や遺族の意向を踏まえて選ぶことが大切です。
金額目安と算定基準
親族が亡くなった際の香典額は、関係性や地域の慣習、会社の慣例によって差が出ます。
ここでは一般的な目安と、金額を決める際の考え方を分かりやすく整理します。
配偶者
配偶者の場合は最も高額になることが多く、一般的には5万円から10万円程度が相場とされています。
ただし、付き合いの深さや故人の年齢、通夜や葬儀への参列状況によって増減します。
会社が弔慰金を支給する場合は、別途規定があることが多いので社内規定を確認した方がよいです。
子ども
子どもが亡くなった場合は親族の悲しみが深いため、金額は比較的高めに設定される傾向があります。
目安としては5万円から10万円を想定しますが、未成年や成人の別で判断が分かれます。
親と同居していたかどうか、親との関係性を踏まえて決めると良いでしょう。
親
親の香典は、関係の濃さや同居の有無によって幅が出ます。
- 同居していた親
- 独立生活をしていた親
- 義理の親
- 遠方で疎遠だった親
一般的な目安は3万円から10万円ですが、同居や日常の世話をしていた場合は高めにするのが一般的です。
祖父母
祖父母への香典は、親と比べてやや低めになる場合が多く、1万円から3万円が一般的です。
ただし、孫として特に近しい関係であったり、葬儀に中心的に関わる場合は金額を上げることがあります。
地域差が出やすいので、同僚や上司に相談すると安心です。
兄弟姉妹
兄弟姉妹は関係性によって幅が大きくなる項目です。
| 関係 | 金額目安 |
|---|---|
| 実兄弟姉妹 | 1万円から3万円 |
| 異母兄弟姉妹 | 5千円から1万円 |
| 兄弟の配偶者 | 5千円から1万円 |
上記はあくまで目安ですので、親密度や葬儀での役割に合わせて調整してください。
その他親族
いとこやおじおばなどのその他親族は、1万円以下から1万円程度が一般的です。
遠縁であれば香典は控えめにし、弔意を示す方法を別に用意することもあります。
会社としての対応が必要な場合は、社内規定に沿って判断してください。
香典の包み方と表書き
香典は、包み方や表書きによって失礼にあたることがあるため、基本を押さえておくことが大切です。
ここでは、表書きの選び方、中袋の書き方、金額の記載方法、名前の書き方について、わかりやすく解説します。
表書き
表書きは葬儀の宗旨や時期によって適切な語句が異なりますので、まず宗派と式の内容を確認してください。
一般的には、仏式の葬儀で四十九日以前なら「御霊前」を用いますが、四十九日以降は「御仏前」とします。
宗派がわからない場合や、失礼を避けたい場合は「御香典」「御供物料」といった汎用的な表書きを選ぶと安心です。
表書きは濃い黒の筆または筆ペンで縦書きにするのが正式であり、赤インクは避けてください。
中袋の書き方
中袋は外袋の中に入れる内袋で、金額や差出人を書き記す役割があります。
お札はできるだけ折り目の少ない状態で、向きを揃えて入れてください。
| 位置 | 記載例 |
|---|---|
| 中袋表面 | 名前 全名 |
| 中袋裏面または中央 | 金 大字で記載 |
| 札の入れ方 | 向きを揃えて入れる |
金額は改ざんを防ぐために大字で記載するのが一般的です。
中袋の名前は正式なフルネームを使い、会社名などを付ける場合は肩書きを続けても構いません。
金額の記載方法
中袋や別紙に記載する金額の書き方は、見た目と改ざん防止の観点から注意が必要です。
- 金額は大字で記載
- 数字のみでの記載は避ける
- 通貨記号は付けない
- 領収証的に扱われる場合は別途控えを残す
例えば一万円なら「金壱萬円」といった大字で書き、改ざんされにくい表現にします。
手書きが難しい場合は、黒インクの筆ペンで丁寧に書くようにしてください。
名前の書き方
名前は読みやすく、正式な氏名を使うことが基本です。
個人で包む場合は姓と名をフルネームで記載し、会社や部署として包む場合は会社名+代表者名や「社員一同」といった表現が使えます。
連名にする際は、人数が少なければ連名で並べて書きますが、多人数の場合は代表者名と「他一同」や「社員一同」とするのが実務的です。
香典袋の表面に名前を書く際も、黒い筆または筆ペンで縦書きにするのが正式であり、読みやすさを優先してください。
会社としての実務対応
社内で葬儀や弔慰金に関する対応は、事前にルールを整備しておくと混乱を避けられます。
従業員や家族が亡くなった際に迅速かつ適切に対応するため、役割分担と手続きの流れを明確にしておくことが重要です。
以下では、弔慰金の支給基準から会計処理、忌引休暇まで、実務で必要なポイントを整理して説明します。
弔慰金支給基準
弔慰金の金額は、会社規模や業種、従業員との関係性によって大きく異なります。
一般的には配偶者や子どもに対して高めの金額を設定し、その他親族は関係の近さに応じて段階的に下げることが多いです。
常勤・非常勤で支給額を分ける場合や、勤続年数に応じて増減させるルールを設ける会社もあります。
社内の就業規則や福利厚生規程に明記しておけば、支給可否や金額判断での主観的な差が生じにくくなります。
支給手続き
弔慰金支給の手続きは、申請から支払いまでの流れを簡潔にしておくと現場の負担が減ります。
必要書類や承認フローを定め、担当部署と連絡先を周知しておくと安心です。
- 申請書の提出
- 上長の承認
- 総務による金額確認
- 経理による支払処理
- 受取確認の実施
会計処理方法
弔慰金の会計処理は、科目の選定と税務上の扱いに注意が必要です。
給与扱いにするか福利厚生費に計上するかで、税務上の取り扱いが変わるため、税理士と確認してルールを固めてください。
| 処理内容 | 借方勘定科目 | 貸方勘定科目 |
|---|---|---|
| 弔慰金支給 | 福利厚生費 | 現金預金 |
| 従業員負担分相殺 | 未収金 | 現金預金 |
| 社葬関連費用 | 会議交際費 | 現金預金 |
会計伝票には、誰のために支出したかを明確に記載し、関連する申請書類を添付しておくことを推奨します。
忌引休暇の運用
忌引休暇の日数は、亡くなった方との続柄や就業規則の定めによって異なります。
一般的な目安としては配偶者や子どもで数日から一週間、親や兄弟姉妹では数日程度とする企業が多いです。
有給扱いにするか無給扱いにするかは会社方針に依りますので、就業規則に明記しておくとトラブルを防げます。
取得時の連絡方法や、必要書類の提出期限を決めておくと、現場の対応がスムーズになります。
また、長期間の喪失による心理的支援が必要な場合は、産業カウンセラーや社内相談窓口の案内を行うと親切です。
参列できない場合の対応
どうしても葬儀に参列できないときは、代わりの弔意を速やかに示すことが大切です。
香典の送付や弔電、供花の手配など、会社としての体裁を保ちつつ故人とご遺族に配慮した対応を行いましょう。
香典の郵送
香典を郵送する場合は、まず中袋に金額と氏名を明記し、不祝儀袋に包んでから送るのが基本です。
現金書留を利用すれば安全性が高く、追跡もできるため安心して送付できます。
封筒の表には「御香典」や「御仏前」など適切な表書きを付け、郵送状に簡単な弔意の言葉と連絡先を添えると親切です。
到着日については通夜や告別式の前日までに到着するよう手配すると、遺族の負担を減らせます。
社内で複数人の香典をまとめて郵送する場合は、同封する名簿で出資者を明示し、管理者が取りまとめた旨を明記してください。
弔電の手配
弔電は短い言葉で丁寧に弔意を伝えられる手段で、時間的に余裕がないときに有効です。
電報サービスでは文面のテンプレートが用意されていますが、部署名や氏名を正式名称で入れることを忘れないでください。
通夜や告別式の日程に合わせて送るのが望ましく、配達時間も確認しておくと安心です。
社として送る場合は、社名と代表者名で送るか、担当者名と部署名で送るかを事前に決めておきましょう。
供花・供物の手配
供花や供物を手配する際は、会場の規定や宗旨に合った形式を確認することが重要です。
過剰にならない規模で、故人や遺族の意向を尊重した贈り方を心がけてください。
| 手配先 | 利用シーン | 備考 |
|---|---|---|
| 専門花屋 | 葬儀会場への直送 | 設置対応可能 |
| 斎場手配業者 | 宗旨に合わせた供花 | 会場指定可 |
| 宅配業者利用 | 簡易供物の送付 | 手軽に手配可能 |
表は手配先ごとの使い分けの目安です。
手配時には到着日時と設置場所を必ず事前確認し、会場側の受け入れ条件や費用負担の有無を確かめてください。
社内連絡の方法
社内で葬儀に関する情報を共有する場合は、故人とご遺族のプライバシーに配慮しながら必要な範囲で伝えることが大切です。
状況に応じてメールと社内掲示の両方を使い分けると伝達漏れを防げます。
- 連絡窓口の明示
- 参列可否の取りまとめ
- 香典や供花の取りまとめ方法
- 忌引休暇の案内
緊急性が高い場合は、部署長から口頭での連絡を併用するとスムーズです。
最終的な連絡文は一度、担当者同士で内容を確認し、表現に不適切な点がないか確認してから発信してください。
社員の親族への対応は迅速さが求められ、まずは社内規定の所在と最新版を確認してください。
弔慰金の支給基準、支給対象、上限額や会計処理の方法を明確に把握しましょう。
忌引休暇の日数や申請手続きを確認して、該当社員への周知方法を決めます。
連絡フローや代理参列、香典の郵送・供花手配といった実務担当者を割り当ててください。
領収書や支払い記録の保存ルールも今のうちに確認することをおすすめします。
不明点は総務や労務担当に速やかに相談してください。


