大切な人を見送る際、心を込めて整える「枕飾り」は、その配置やマナーに悩む方が多いものです。
宗教や地域ごとによって違いがある上、失礼のないようにきちんと準備したいと思うほど不安になることもあるでしょう。
本記事では、枕飾りやその配置の正しい知識を分かりやすく解説し、必要なアイテムや宗教ごとの違い、注意点まで網羅してご紹介します。
これを読めば、慣れない枕飾りの準備も安心して行えるはずです。
枕飾りの配置方法に迷っている方や、マナーを知りたい方はぜひ続きをご覧ください。
枕飾りとその配置について知ろう

枕飾りは、故人を安らかに見送るためにご遺体の枕元に飾る仏具やお供え物のことを指します。
一般的には通夜や葬儀に先立ち設置されるため、ご遺族や参列者が故人へ祈りを捧げる大切な場所となります。
枕飾りの配置には宗教や地域の風習による違いもありますが、心を込めて用意することが大切です。
枕飾りの基本的な役割と意味
枕飾りは、故人が旅立つ際に必要とされる供物や仏具を整え、安らかな冥福を祈るためのものです。
ご遺族にとっても、最後のお別れの時を静かに過ごせるよう心を落ち着かせる役割があります。
また、宗教的なしきたりや地域の風習も反映されており、故人と家族の心を繋げてくれる大切な儀式です。
枕飾りに必要なアイテム一覧
- 枕団子
- 香炉
- ロウソク立て
- 花立て(生花)
- 水やお茶を入れる器
- りん(鈴)
- 線香
- 浄土真宗の場合は、経本や他の仏具
これらのアイテムを準備し、きれいに配置することで故人を丁寧に弔うことができます。
宗教別の枕飾りとその配置方法
宗教によって必要な枕飾りや配置方法は異なります。
宗教・宗派 | 主なアイテム | 配置の特徴 |
---|---|---|
仏式 | 枕団子、香炉、ロウソク立て、花立て | 枕元に直線的に並べるのが一般的 |
神式 | 玉串・榊、水・米・塩など | 白布を掛け、神具を中心に左右対称に配置 |
キリスト教 | 花、十字架、聖書 | シンプルに生花や十字架だけを飾ることが多い |
宗教ごとの決まりや家族の要望に合わせて飾ることがポイントになります。
枕飾りの設置における注意事項
枕飾りの設置場所は、ご遺体の枕元が基本ですが、部屋の広さや状況によって無理のないスペースに飾りましょう。
火を使うロウソクや線香を立てる場合は、火災の危険がないよう十分に注意が必要です。
宗教や宗派による違いにも配慮し、事前に菩提寺や葬儀社などに確認すると安心です。
また、アイテムを清潔に保ち、心を込めて飾ることを心がけましょう。
枕飾りの費用と準備方法
枕飾りにかかる費用は内容や選ぶ品物によって異なります。
一般的には数千円から一万円程度までが目安となることが多いです。
自分で用意する場合には仏具店や葬儀用品店で必要な道具を購入できます。
最近は葬儀社が一式をパックで用意してくれるプランもあり、忙しい時には利用がおすすめです。
事前に見積もりを確認し、宗教や家族の意向も考慮しながら無理のない範囲で準備しましょう。
枕飾りの正しい配置方法

枕飾りは亡くなられた方を安置した際に、その枕元や周囲に供える伝統的な飾りです。
正しい配置を行うことで、宗教的な意味合いや心を込めた弔いを実践できます。
宗教や地域、家庭で多少の違いはありますが、基礎的な作法やマナーを把握しておくことが大切です。
仏教における枕飾りの配置
仏教の枕飾りは、故人を安置した布団の枕元に設けます。
一般的には以下のような順で配置されます。
- 白木の机または小さな机を用意する
- 香炉を中央に置く
- その両脇にローソク立て、線香、鈴を並べる
- 供物(ご飯・水・果物等)を並べる
- 花立てに白い花を供える
枕飾りの基本は、できるだけ質素にし、清らかな白を基調としたものを使用することです。
また、故人の頭が北枕(宗派によっては西枕)になるように安置し、飾りの向きも故人と向かい合う形で配置します。
地域や宗派によって、ろうそくやお線香の本数、供物の内容に違いがあるため事前に確認しましょう。
神道・キリスト教の枕飾りと配置の違い
仏教以外の宗教でも枕飾りは行われますが、配置や使用する品に違いがあります。
神道の場合、仏具ではなく神具を使い、清浄を重視します。
キリスト教では枕飾り自体が簡素であり、飾りの内容も最小限です。
宗教 | 用意するもの | 特徴 |
---|---|---|
神道 | 榊、御神酒、米、水、塩など | 白布を掛ける、三方や神饌を使用 |
キリスト教 | 十字架、花、聖書など | シンプルな配置、祈りが中心 |
神道では供物を三方に載せて供え、キリスト教ではキャンドルや生花、遺影の前に祈りを捧げる形式が主流です。
枕飾りの配置による宗派ごとの特徴
仏教といっても宗派によって細かい違いがあります。
たとえば浄土真宗や真言宗では、枕飾りや供物、配置方法に独自の作法があります。
以下は主な宗派の特徴です。
- 浄土宗・浄土真宗:香炉を主体にし、立香か寝香の違いがあります。
- 曹洞宗・臨済宗:お花や水、ご飯は配置しますが質素であることを重視します。
- 真言宗:線香やろうそくの本数、供花の種類などに指定があります。
- 日蓮宗:数珠やお題目に使う小物を配置する場合があります。
それぞれの宗派ごとの伝統や地域のしきたりに合うよう、事前に確認すると安心です。
自宅での枕飾り配置と安置のポイント
自宅で枕飾りを配置するときは、故人が安らかに過ごせる環境づくりが大切です。
部屋を清掃し、窓を軽く開けるなど、穏やかな空間を心がけましょう。
枕飾りは故人の頭側に合わせ、机の向きも調整します。
安置する布団や枕、掛け布団の色は白を基本にし、清潔感を大切にします。
ペットや小さなお子さまがいる場合は、ろうそく火や供物の安全管理にも注意しましょう。
可能であれば、宗派や地域に合わせた指示やガイドラインも参考にし、不安な場合は葬儀社に相談してください。
枕飾りのマナーとルール

故人を見送る際、枕飾りの配置やアイテムには昔からのマナーや作法があります。
お通夜や葬儀の流れをスムーズにし、心を込めて故人に手向けるためにも、正しいルールを知っておくことが大切です。
基本的には、清潔感を大切にしながら必要なものをバランスよく配置するのがポイントです。
ろうそくの火と線香を絶やさないための注意点
枕飾りでは、故人の安らかな眠りを祈念して常にろうそくや線香の火を絶やさないようにします。
これは「仏の道への灯りを絶やさない」「霊が迷わずにいけるように」という意味が込められています。
火の元には十分注意し、必ず見守る人を置くのが基本です。
線香の火を絶やさないためには、定期的に新しい線香に火をつけることが大切です。
また、ろうそくも短くなったら新しいものに交換しましょう。
- ろうそくや線香を置く場所は安定した場所に配置する
- 周囲に燃えやすいものを置かないようにする
- こまめに様子を見に行くことを心がける
- 火をつけたままその場を離れない
火事のリスクを防ぐため、特に夜間や長時間無人となる場合には消火にも配慮しましょう。
枕飯・枕団子の準備と意味
枕飾りに欠かせないのが枕飯と枕団子です。
枕飯とは、小さな茶碗にご飯を軽く盛り、高く三角に盛り付けて真ん中に箸を立てます。
一方、枕団子は団子を5つか6つ、お皿に盛り付けて供えます。
項目 | 意味やポイント |
---|---|
枕飯 | ご飯を逆さ箸(立て箸)で供えることで、現世のご飯ではなく、仏様へのご飯という意味があります。 |
枕団子 | 団子の数には諸説ありますが、故人が迷わずあの世へと旅立てるようにとの無事祈願の意味があります。 |
故人の好物を添えることも可能ですが、地域や宗教によって異なるため、事前に確認すると安心です。
一本花の意味と選び方
枕飾りに使う一本花には、故人への最後のお別れと感謝の気持ちを込める意味があります。
基本的には、あまり華美すぎない一輪の花を選ぶのがマナーです。
白や淡い色の花がよく用いられ、故人が好きだった花や種類で選ぶ場合もあります。
選び方のポイントは以下のとおりです。
- 白菊やカーネーションなど、長持ちする花を選ぶ
- 棘のある花は避ける(バラなどは一般的にNG)
- 故人が生前特に好きだった花を検討する
- 季節の花を取り入れるのもおすすめ
生花を用意できない場合は、造花やプリザーブドフラワーでも問題ありませんが、なるべく清楚でシンプルな見た目を重視しましょう。
宗教別の枕飾りとその配置ガイド

枕飾りとは、亡くなられた方を安らかに送り出すため、枕元に供える飾りや道具のことを指します。
宗教によって用意するものや配置方法に違いがあり、それぞれの作法に従うことが大切です。
ここでは代表的な宗教ごとの枕飾りと配置方法について解説します。
仏教の場合:必要なものと配置方法
仏教では、一般的に枕飾りは仏具や供物を中心として用意します。
必要なものの例として以下のようなものがあります。
- 香炉
- ローソク立て
- 花立て(供花)
- 鈴(リン)
- ご飯(枕飯)や水、供物の器
- 数珠
配置方法は、まず小さな机や台を枕元に置き、その上に香炉・ローソク立て・花立てを三具足として並べるのが一般的です。
香炉を中央に、左右にローソク立てと花立てを対称に配置します。
その前方にご飯や水の器、さらに数珠や鈴を並べましょう。
また、宗派によって細かい違いがあるため、ご家族や僧侶に事前に確認するのがおすすめです。
神道の場合:必要なものと配置方法
神道の枕飾りは、忌みや穢れを清める思いや、自然への感謝の心を表します。
主に必要なものは以下の通りです。
神饌 | 榊 | 水・塩・米 |
---|---|---|
神様へのお供え。洗米や酒、乾物などを小皿に分けて用意 | 榊の枝を花立てに挿して供える | 浄めの意味を持つ。水は小さな器、塩は小皿、米も同様 |
配置は、枕元に清浄な白布を敷き、中央に神饌、左右に榊や水・塩・米を置きます。
神道の場合は仏具は用いず、供物や榊をシンプルに配置するのが特徴です。
キリスト教の場合:必要なものと配置方法
キリスト教では、独自の枕飾りはありませんが、シンプルさと祈りを重視します。
枕元には以下のものを用意することが多いです。
- 十字架
- 聖書
- 花(白百合やカーネーションなど)
- キャンドル
配置は、十字架または聖書を枕元中央に置き、その周囲に花やキャンドルをバランスよく配置します。
ご遺体の両側に小さな花束を添える場合もあります。
キリスト教の流派によって持ち込むものや配置が異なる場合があるため、牧師や教会に確認すると安心です。
枕飾りの配置に関するよくある質問

枕飾りの配置については、宗派や地域、家庭の事情によって疑問が生じることが多いです。
ここでは特に寄せられることの多いご質問をもとに、枕飾りの配置や取り扱い方についてご紹介します。
枕飾りはいつまで置いておくべきか
枕飾りは、故人が亡くなってすぐに準備されるものです。
枕飾りを片付けるタイミングは、地域や宗派によって異なりますが、一般的には納棺の直前までそのままにしておくことが多いです。
納棺や通夜の前までに片づける場合もあれば、初七日までそのまま安置する地域もあります。
片付けの時期が分からない場合は、葬儀社や僧侶に相談するのがおすすめです。
主に下記のタイミングが目安となります。
- 納棺の直前
- 通夜の直前
- 葬儀後の初七日を迎えるころ
判断に迷った場合は、慣習やしきたりに詳しい方に確認しましょう。
葬儀社に依頼する場合と自分で準備する場合の違い
枕飾りの配置を葬儀社に依頼するケースと、ご自分で準備するケースとではいくつかの違いがあります。
下記の表で主な違いをまとめます。
項目 | 葬儀社に依頼 | 自分で準備 |
---|---|---|
準備の手間 | 全てお任せできる | 自分で物品を用意する必要がある |
専門性 | 宗派や作法に合った配置が可能 | 知識がない場合は調べる必要がある |
費用 | 追加費用がかかることも | 手持ちの物を使えば費用を抑えられる |
安心感 | プロに任せられるので安心 | 判断に不安を感じる場合もある |
どちらを選ぶか迷う場合は、ご家族の状況や費用、慣習などを考慮して決めると良いでしょう。
枕飾りとその配置に関する総合的な考察

これまで枕飾りやその配置についてさまざまな視点から解説してきました。
枕飾りは単なる儀式の道具ではなく、故人や遺族の気持ちを尊重し、安らぎの空間をつくる大切な役割があります。
また、その正しい配置や意味を知ることで、より良いお別れの時間を過ごすことができるでしょう。
地域や宗教、家庭によってしきたりには多少の違いがありますが、基本を理解して心を込めて準備する姿勢が一番大切です。
枕飾りや配置について不安や迷いがある場合は、葬儀社や信頼できる方に相談しながら進めるのがおすすめです。
人生の大事な場面を穏やかに見送るためにも、思いやりを持った選択を意識しましょう。