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白装束と死装束の違いを徹底解説|正しい意味や選び方・宗教的な違いまでわかりやすく解説

伝統的な和風の葬儀場に安置された棺と祭壇供えられた香炉や供物が見える
ご遺体の管理・ケア

大切な人を見送るとき、「白装束」と「死装束」の違いについて悩んだり、不安に感じたりする方は少なくありません。

特に日本の伝統や宗教的な儀礼においては、それぞれの意味や選び方に迷いが生じやすいものです。

この記事では、白装束と死装束の違いについて、わかりやすく丁寧に解説し、その背景にある意味や歴史、現代での選び方など幅広い視点から詳しくご紹介します。

正しい知識を持つことで、心を込めて故人を送り出すお手伝いができるはずです。

続きで、白装束や死装束についてより深く学んでいきましょう。

白装束と死装束の違いとは

白い手袋をした係員が白いユリの花束を棺の中に丁寧に納める様子

白装束と死装束は、日本の伝統や宗教的な習慣に深く根ざした言葉ですが、その違いが分かりにくいことも多いです。

どちらも「白」という清らかな色に関連していますが、使われる場面や目的に明確な違いがあります。

文化や歴史を理解する上で、この二つの装いの違いを知ることは大切です。

白装束の基本的な意味と由来

白装束とは、真っ白な布で体を包む伝統的な衣服を指します。

日本では、修行や宗教的な儀式、または結婚など、特別な場面で用いられてきました。

白色は穢れを払う清浄の象徴とされ、神聖な場面で多く用いられています。

例えば、修験道の修行者や神職、花嫁も白装束を身につけることがあります。

白装束のルーツは古代にまでさかのぼり、浄化や決意の表れとしての意味合いが込められてきました。

死装束の定義と目的

死装束は、故人をあの世へ送り出す際に着せる特別な衣服です。

主に葬儀の際、亡くなった方に着せられ、その多くは白い布で仕立てられています。

この装いは、故人が浄土や天国へ無事に旅立てるよう願いを込めて用意されます。

死装束には、装飾の少ない簡素なつくりから、地域によっては装飾や小物が付く場合もあります。

  • 主に亡くなった方のための衣服である
  • 旅行装として「脚絆」や「手甲」なども含まれることがある
  • 死後の世界への旅立ちを安全に、清浄にと祈る意味が込められている

白装束と死装束の色が持つ意味

白装束、死装束ともに「白色」を用いる点は共通していますが、白色に込められた意味合いに違いが見られます。

日本の伝統的な文化では、白は「純粋」「清浄」「無垢」を象徴する色です。

生者の儀式で着る白装束は、けがれを祓い新たな段階に進むための装いです。

一方、死装束の白は、現世の汚れから解き放ち、安らかに旅立つことを願う色です。

使用場面 白色の意味
白装束 純粋さ・新たな出発・清らかさ
死装束 浄化・あの世への送り出し・穢れを祓う

歴史的背景による白装束と死装束の違い

白装束の歴史は古く、奈良時代や平安時代にはすでに神事や祭りなどで使われていました。

また、戦国時代の武士が戦いに赴く時も「覚悟の表れ」として白装束を纏ったことが記録に残されています。

死装束が現れるのは鎌倉時代以降で、「浄土信仰」の広がりとともに死者を極楽浄土へ送るための装いが始まりとされています。

このように、白装束は生と死の両方に使われ、用途により意味が移り変わってきました。

一方、死装束は葬送儀礼の中で発展し、現代の葬儀風景へと引き継がれています。

宗教的な観点から見る白装束と死装束

宗教的な観点でも、白装束と死装束の役割には違いが見られます。

仏教では、白装束は修行中の清浄さを表し、けがれを祓う意味が強調されます。

死装束もまた仏教儀礼と深く関わっており、特に浄土宗や真言宗などの葬式で白衣を着せる風習が根付いています。

神道では、白装束は神前での清らかさを表す最も大切な装いです。

このように、同じ「白」でも、宗教や儀式の違いによって用途や意味が分かれています。

白装束や死装束を着せる際のポイント

白い手袋をした係員が白いユリの花束を棺の中に丁寧に納める様子

白装束や死装束は、日本の伝統的な葬送文化において大切な役割を持っています。

着せ方やタイミング、地域ごとの違いを理解しておくことで、心を込めたお見送りができるようになります。

それぞれの装束の意味や着せる際の注意点を押さえておくことが、故人との最後の時間を大切にすることにつながります。

白装束の着せ方と留意点

白装束は、清潔感と浄化の意味を持ち、旅立ちの装いとして多くのご家庭で使われています。

着せる際は、まず体全体をきれいに拭いてあげることが大切です。

次に、肌着、白衣、袴、足袋、帯など順番に着付けていきます。

帯は左が上になるように結び、死者をあの世に送り出す意味を込めます。

帯締めや小物も故人の身体に負担がかからないよう、やさしく扱うことを心掛けましょう。

  • 必ず白い衣類を用いる
  • 右前にしない(左前で着付ける)
  • 帯は背中側できつく締めすぎない
  • 装飾品は外すか簡素なものを使用する

手早く丁寧に、かつ故人への敬意を忘れずに行いましょう。

死装束を着せるタイミングとその手順

死装束を着せるタイミングは、通常、納棺前にご遺族や専門の納棺師によって進められます。

ご遺体の清拭が終わった後、安らかな表情を整えてから死装束に着せ替えます。

宗教や地域のしきたりによって若干違いはありますが、基本的な手順は以下の通りです。

  1. ご遺体の清拭(全身拭き清める)
  2. 髪や顔を整える
  3. 白装束を着せる(順番は肌着→白衣→帯→袴→足袋など)
  4. 装具(杖、頭巾、手甲、脚絆など)を装着する
  5. 胸元に守り刀や数珠を添える
  6. 最後に全体の身支度を確認し納棺する

この流れを大切にすることで、安らかな旅立ちをお手伝いできます。

地域や宗派による着装の違い

白装束や死装束の着せ方は、地域や宗派によって特徴があります。

たとえば、東北地方では「輪袈裟」や「手甲」を必ず添える地域もあり、西日本では足袋や草履まできっちりと用意されることもあります。

地域・宗派 主な特徴 装具の違い
浄土宗 頭巾や袈裟必須 念珠や六文銭も添える
真言宗 五条袈裟を使用 金剛杖などが加わる
東北地方 草鞋・脚絆を重視 三途の川を渡るための装具が多い
関西地方 足袋や和装を重視 地域独自の帯結びがある

ご家庭や親戚で習わしが違うこともあるため、事前に確認しておくと安心です。

白装束と死装束に使用される装具の種類

故人に着せる白装束や死装束には、さまざまな装具が用いられます。

代表的なものとして、白衣、帯、袴、足袋、頭巾、手甲、脚絆、守り刀、数珠などがあります。

地域や宗派によって用いるものの種類や数が微妙に異なりますが、多くの場合は次の装具が使われます。

  • 白衣(しろい)…全身を覆う着衣
  • 袴(はかま)…足を包む下衣
  • 帯(おび)…着衣を締めるための布
  • 足袋(たび)…足をおおう伝統的な靴下
  • 頭巾(ずきん)…顔を覆う白い布
  • 手甲、脚絆(てこう、きゃはん)…手首や足首を守る布
  • 杖(つえ)…三途の川を渡るための旅具
  • 数珠(じゅず)、守り刀(まもりがたな)…お守りや魔除け

ご家族でどの装具を用意するか、担当の葬儀社とも相談すると安心です。

白装束と死装束の宗教的な違い

白い手袋をした係員が白いユリの花束を棺の中に丁寧に納める様子

白装束と死装束は、どちらも「特別な場面で身につける衣服」として多くの宗教や文化で用いられています。

日本では特に、亡くなった方に白い装束を着せる習慣がよく知られていますが、その意味や使われ方には宗教ごとに明確な違いがあります。

また、海外の宗教や無宗教における死装束にも独自の考え方が存在します。

仏教における白装束の役割

仏教において白装束は、清らかさや無垢、浄化の象徴とされています。

亡くなった方を極楽浄土に送り出すため、死装束として白い着物「経帷子(きょうかたびら)」が用いられます。

経帷子は旅立ちの衣とも呼ばれ、頭陀袋や脚絆などと共に、極楽への旅装束として死者に身につけさせます。

この白装束を着せる理由は、生まれ変わりへの願いや、汚れのない状態で次の世界へ向かうという仏教の教えからきています。

また、多くの葬儀では数珠や頭巾など死者の旅立ちを助けるアイテムも併せて用いられます。

神道に見る白装束と死装束の違い

神道でも白は清浄を表す色として重要視されています。

特に神事や、斎場での儀式の際は神職者も白装束を着用しますが、仏教の死装束とは少し意味合いが異なります。

神道では死を「けがれ」と捉え、故人に白い衣服を着せるのは、邪気を払う意味が込められています。

また、以下のような違いが見られます。

  • 仏教:旅立ちや浄化の意味合いが強く、死者への祈りの形として装束が整えられる
  • 神道:死のけがれを避けるため、清める意味で白装束を着せる

このように宗教によって、同じ白装束でも役割や意義は異なります。

キリスト教の視点からの死装束

キリスト教圏では、日本の白装束のような決まった伝統衣装はありませんが、「死装束」という形で特別な衣服を用いる習慣があります。

多くの場合、亡くなった方には普段よりも上質なスーツやドレスが着せられます。

聖職者の場合は白いアルバやローブを着用することもあります。

また、カトリックとプロテスタントでの違いを表にまとめました。

宗派 死装束の特徴
カトリック 聖職者の場合は白いアルバ、一般信者は個人の服が多い
プロテスタント 特に指定はなく、オーダーメイドのスーツやドレスが一般的

このように、西洋のキリスト教文化では、「清らかさ」よりも「その人らしさ」や「人生の集大成」を重視する傾向があります。

その他の宗教や無宗教における死装束の意味

インドのヒンズー教では、死者に新しい衣服を着せ、親族が白い服装を身につけることが一般的です。

イスラム教では、死者を清めた後、白い布(カファン)で全身を包む儀式が行われます。

また、近年は宗教にとらわれない葬送も増えており、無宗教の形式では個人の希望に合わせた自由な服装選びが可能です。

死装束の有無や色、形は文化や個人の価値観によってさまざまですが、その根底には「故人を大切に送り出す」という想いが共通しています。

現代的な白装束や死装束へのアプローチ

白い手袋をした係員が白いユリの花束を棺の中に丁寧に納める様子

現代社会では、伝統的な白装束や死装束についての考え方が少しずつ変化してきています。

従来の慣習を尊重しつつも、個人の希望や嗜好を反映した選択が増えつつあります。

家族や本人がどのような思いで装束を選ぶのかが重視されるようになり、選択の幅が広がっています。

時代に合わせて変化する装束の在り方について、さまざまな工夫が見られるようになっています。

現代における白装束の選び方

現在では、白装束を準備する際にも多様な選択肢があります。

インターネット通販や葬儀社を通じて、伝統的なものから現代的な素材やデザインのものまで幅広く販売されています。

次のようなポイントを意識して選ばれることが増えています。

  • 着心地や肌触りといった着用感
  • 価格や費用対効果
  • 宗教的慣習や地域のしきたりとの適合性
  • 故人や家族の希望・個性の反映

最近では簡単に着せられるワンタッチタイプや、お手入れがしやすい素材の商品も人気があります。

また、派手さを抑えたデザインやシンプルなラインナップも注目されています。

死装束の個人化とカスタマイズの流行

従来の死装束は白や一定の形式に決まっていましたが、近年は個人の個性や生前の想いを重視したカスタマイズが広まっています。

伝統的な死装束 現代のカスタマイズ死装束
無地の白衣や白装束 色や模様を工夫した装い
決まった帯や数珠 人生の節目を象徴するアイテム追加
全員同じ様式 故人らしさや家族の想いを反映

生前に好きだった色や柄を取り入れたり、故人の職業や趣味にまつわるアイテムを加える例も増えています。

葬送のカタチは多様化しており、死装束も「その人らしさ」を重視した選択が一般的になりつつあります。

好きな服を死装束にすることの是非

近年、「亡くなったときは好きな服で見送ってほしい」と望む人が増えています。

こうした考え方には賛成意見・反対意見の両方が存在します。

  1. 好きな服を選ぶことで、故人の生き方や価値観を大切にできる
  2. 遺族や親族にとっても、故人らしい姿で送り出せる満足感が得られる
  3. 一方で、宗教的な意味合いや地域の慣習を重視する場合は、伝統的な死装束にこだわることもある

家族や故人が何を大切にしたいかを話し合い、納得できる方法を選ぶことが大切です。

時代の変化とともに選択肢は広がっていますが、どんな装いを選んでも故人を大切に思う気持ちが最も大切だと言えるでしょう。

白装束と死装束の違いを理解して大切な人を送り出す

白い棺に金具の装飾が施された葬儀の風景

これまで白装束と死装束の違いや由来、使われる場面について詳しく説明してきました。

二つの言葉は似ていますが、宗教的な意味合いや着るタイミング、役割などが異なることが分かりました。

大切な人を見送る場面では、地域やご家庭のならわしに合わせてベストな選択をすることが大切です。

それぞれの意図や意味を把握することで、後悔のないお別れの準備ができるでしょう。

特に葬儀の準備は心の負担も大きいものです。

こうした知識が、不安を和らげながら、大切な人を思いやりの心とともに見送る力になるはずです。

記事を通して、ご自身やご家族のために少しでも参考となれば幸いです。