「あいしん葬祭」は、 穏やかな最期を願う全ての人のためのメディアです。

亡くなった人の入れ歯はどうするべきか|正しい取り扱い方法と処分・リサイクル・供養まで完全解説

白い手袋をした係員が白いユリの花束を棺の中に丁寧に納める様子
ご遺体の管理・ケア

大切なご家族が亡くなった際、「亡くなった人の入れ歯はどうするべきなのか」と悩まれる方は少なくありません。

入れ歯には思い出や故人のこだわりも詰まっているため、処分や保管、供養の方法に戸惑うのは当然のことです。

しかし、火葬時の対応や仏式の習慣、処分方法やリサイクルの可否など、知っておきたい知識や選択肢は意外と多いものです。

この記事では「亡くなった人の入れ歯はどうするべきか」に関する具体的な方法や注意すべきポイントを解説し、納得できる選択ができるようサポートします。

まずは、火葬や葬儀の際の入れ歯の取り扱いについて確認しましょう。

亡くなった人の入れ歯はどうするべきか?

白い布に包まれた棺と供花が飾られた葬儀の場面

亡くなった人が使っていた入れ歯の取り扱いは、多くのご遺族にとって悩みの種となります。

衛生面や宗教的な慣習、また故人自身の希望などによって対応はさまざまです。

特に火葬の際や葬儀の準備の時点でどのようにすればよいのか、正しい知識が求められています。

火葬の際の入れ歯の取り扱い方法

火葬の際に入れ歯をどうするかは、材質によって対応が異なります。

多くの入れ歯はプラスチックやレジンなどでできており、そのまま火葬しても大きな問題はありません。

ただし、金属が使われているタイプの場合には、一部の斎場で事前に取り外すことを勧められることがあります。

以下は火葬時の入れ歯の取り扱いに関する主な対応方法です。

  • プラスチック製:基本的にはそのまま火葬が可能
  • 金属入り:事前に斎場や葬儀社へ相談し、取り外しが勧められる場合は外しておく
  • 取り外した入れ歯は持ち帰る、もしくは供養してもらうことができる

遺体に入れ歯をつけるメリットとデメリット

入れ歯を装着したままにするかどうかは、ご遺族や故人の意向によって異なります。

メリット デメリット
表情が穏やかになり、見送りの際の印象がよい 火葬場によっては金属部分の取り外しを求められる
故人が生前の姿に近づく 入れ歯の材質によっては火葬後に変質や破損が起こる可能性がある

このように見た目や想いを重視するか、後々の取り扱いを重視するかによって対応が決まります。

入れ歯をお棺や骨壺に入れる方法

入れ歯をお棺に納めることは珍しくありませんが、一部の斎場や宗派によっては対応が異なる場合があります。

実際にお棺に入れる場合は、口の中に装着する方法と、紙や布に包んでお棺の中に納める方法があります。

火葬後の骨壺に収める場合は、基本的に耐熱性が低い入れ歯は残らないことが多いです。

骨壺に残った金属部分などの取り扱いについては、葬儀社や斎場に相談してください。

死後の世界への影響はあるのか?

日本では、入れ歯を付けたまま旅立つことで、あの世でも困らないという考え方があります。

一方で、宗教的・思想的な観点から入れ歯を外して、身体を自然な形で送り出すことを大切にする考えもあります。

多くの場合、死後の世界への影響ははっきりしていませんが、家族や宗派の方針に従うことが安心です。

故人の意向を尊重した入れ歯の取り扱い

一番大切なのは、故人がどのように考えていたかを尊重することです。

生前に「このままの姿で送り出してほしい」と話していた場合は、入れ歯を付けてあげるとよいでしょう。

逆に「入れ歯は外してほしい」との希望があれば、その意向を大切にすることが重要です。

家族だけで判断が難しい場合は、葬儀社や斎場に相談し、納得できる形で対応しましょう。

故人の入れ歯を処分する方法

白い棺に金具の装飾が施された葬儀の風景

身近な方が亡くなられた際、入れ歯の処分について悩む方は多いです。

入れ歯は個人の体の一部のような存在であり、どのように対応するかは様々な方法があります。

それぞれの選択肢を知ることで、ご自身やご家族の考え方に合った方法を選ぶことができます。

自治体のゴミ回収に出す

もっとも一般的な方法は、自治体のごみ回収に出すことです。

入れ歯は素材によって「燃えるごみ」や「燃えないごみ」に分けられることがあります。

多くの場合、金属部分が含まれていれば燃えないごみ、プラスチックやレジンだけのものは燃えるごみとして扱われます。

事前に自治体のホームページやごみ出しガイドで分類を確認しましょう。

ほかのごみと区別して紙などに包んで出すと、回収する方への配慮にもなります。

  • 入れ歯の金属部品は外せる場合は外して分別
  • 回収時期や分別ルールは各自治体ごとに異なる
  • 心配な場合は自治体窓口に問い合わせを

歯科医院で処分してもらう

入れ歯を作製した歯科医院や、お近くの歯科医院に相談するのも一つの方法です。

歯科医院では医療廃棄物として適切に処分できる場合があります。

ただし、全ての歯科医院が対応しているわけではないので、事前に電話などで確認しましょう。

個人情報や思い出を大切にしたい場合にも安心して依頼できます。

メリット デメリット
専門的に安全に処分できる 費用がかかる場合がある
個人情報保護ができる 持ち込みが必要

お寺や神社での供養

入れ歯には故人の思い出や魂が宿っていると考える方も少なくありません。

そのため、お寺や神社で供養をしてもらう方法もあります。

年に一度、歯の供養祭を行っている寺院や神社も全国に点在しています。

宗教的な考え方や故人に対する気持ちを大切にしたい方におすすめです。

供養を依頼する際は、事前に連絡し日時や費用などを確認しましょう。

リサイクルや寄付の選択肢

一部の入れ歯には金属などの貴重な素材が使われていることがあります。

専用のリサイクル業者や団体では、こうした金属部分を再利用したり、発展途上国への医療支援のために寄付を受け付けていることもあります。

以下のような団体やサービスが利用できます。

  • 金属リサイクル業者
  • 歯科医師会が運営するリサイクル・寄付制度
  • 慈善団体による海外医療支援プログラム

利用したい場合は、インターネットなどで詳細を調べてみましょう。

買取サービスを利用する

金やパラジウムなどの貴金属が使われている場合、専門の買取サービスを利用する方法もあります。

買取を希望する場合は、歯科材料や貴金属の買取業者に問い合わせてみましょう。

状態や素材によって査定額が変わるため、事前に複数の業者で比較すると安心です。

不安な場合は、口コミや実績のある業者を選ぶとよいでしょう。

入れ歯のリサイクルと寄付の方法

喪服の女性が棺の前で手を合わせている姿

亡くなった方の入れ歯は、ただ処分するだけでなくリサイクルや寄付の方法も選択肢の一つです。

正しい手順を踏めば、環境に優しく社会貢献もできるため、多くのご遺族が関心を持っています。

リサイクル可能な入れ歯の種類

入れ歯には様々な種類があり、リサイクルできるかどうかは素材によって異なります。

一般的にリサイクルが可能なのは、金属が使われている部分入れ歯や総入れ歯です。

特に、金や銀、プラチナなどの貴金属が使用されている入れ歯は、その金属部分を再利用できるため需要があります。

一方、全てがプラスチックでできていたり、金属部分が少ないものはリサイクルの対象にならない場合があります。

入れ歯の種類 リサイクル可否 主な素材
金属床入れ歯 可能 貴金属(例:金、銀、プラチナ)
プラスチック製入れ歯 不可の場合あり レジン(樹脂)
磁性アタッチメント付き入れ歯 一部可能 磁石・金属

日本入れ歯リサイクル協会について

日本入れ歯リサイクル協会は、不要になった入れ歯を回収して貴金属を抽出し、その収益を社会貢献活動に役立てている団体です。

個人でも歯科医院を通じて協会に入れ歯を寄付することができます。

協会では回収した入れ歯から取り除いた貴金属をリサイクルし、その資金を国内外の支援団体や福祉団体へ寄付しています。

  • 協会指定の回収箱が全国の歯科医院や介護施設に設置されている
  • 回収された入れ歯は分解・選別・洗浄されてリサイクル工程に回される
  • リサイクルによる収益は、福祉事業や災害支援、子供たちの支援活動などに活用される

このような仕組みにより、亡くなった方の入れ歯も新たな社会貢献につながります。

寄付先の選び方

寄付を考える際は、リサイクル団体や福祉団体の活動内容を確認することが大切です。

信頼できる団体を選ぶことで、寄付された入れ歯が適切に活用されるか判断できます。

主な寄付先には以下のような団体があります。

  1. 日本入れ歯リサイクル協会
  2. 社会福祉法人などの福祉団体
  3. 災害支援を行うNPO

団体の公式サイトや活動報告をチェックし、どのような社会貢献に使われているのかを理解してから決めるとよいでしょう。

また、寄付の手続きや持ち込み方法については、事前に団体に問い合わせて確認すると安心です。

亡くなった人の入れ歯に関するよくある質問

白い手袋をした係員が白いユリの花束を棺の中に丁寧に納める様子

身近な方が亡くなったとき、ご遺体に残された入れ歯についてどう扱えばよいのか悩む方も多いです。

入れ歯は故人にしっかり合ったものなので、取り扱いに迷いや不安を感じるのは自然なことです。

ここでは、よくある疑問点についてわかりやすくご紹介します。

入れ歯をそのままにしておくとどうなる?

入れ歯を故人の口にそのまま残した場合、火葬時に入れ歯も一緒に焼かれることが多いです。

特に金属が含まれる入れ歯の場合、焼却しきれない素材があるため、火葬後に遺骨と一緒に発見されることがあります。

葬儀場や火葬場によっては、入れ歯は外して別に保管してくださいと案内されるケースもあります。

入れ歯をそのままにしても健康上の問題はありませんが、素材や構造によって火葬時の対応が変わります。

入れ歯の種類 火葬時の対応
プラスチック製 ほとんど燃えるが一部残る可能性あり
金属が使われている場合 骨壷に入れないよう分別されることが多い

気になるときは、斎場や葬儀社の担当者に事前に確認してみると安心です。

ご遺族に必要な手続きは?

基本的に、入れ歯に対して法律上の特別な手続きは必要ありません。

ただし、以下のポイントを押さえておくと安心です。

  • 火葬前に入れ歯を外すかどうかを葬儀社に相談する
  • 外した入れ歯を記念品として保管するか、処分するかを家族で決める
  • 記念品として残す場合は清掃・消毒を行う
  • 医療廃棄物として適切に処分したい場合、歯科医院や葬儀社に依頼できるか尋ねる

基本的には、希望に応じて入れ歯の扱いを決めることができます。

遺品整理の一環として、無理のない形で対応しましょう。

どう扱うか決めかねる場合は、葬儀社や歯科医院が相談先となりますので、気軽に問い合わせてみてください。

亡くなった人の入れ歯はどうするべきかを理解して選択する

伝統的な和風の葬儀場に安置された棺と祭壇供えられた香炉や供物が見える

ここまで、亡くなった方の遺品整理やお別れについてさまざまな側面を見てきました。

最後に、入れ歯の取り扱いに関してまとめます。

入れ歯は、形見として取っておく方もいれば、不要と判断して処分する方もいます。

処分する際は、感謝の気持ちを込めて包み紙に包み、一般ごみとして出すことが一般的です。

特に気になる場合は、歯科医院に相談したり、葬儀社にアドバイスを求めることもできます。

どちらを選ぶ場合も、故人との思い出やご家族のお気持ちを大切にして判断しましょう。

亡くなった方の大切な持ち物をどのように扱うか迷ったときは、ご遺族で話し合い、一番納得のいく方法を選ぶことが大切です。