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遺体安置を自宅で行う方法|かかる費用やメリット・デメリット

遺体安置を自宅で行う方法 葬儀

大切な方が亡くなってすぐに検討しなければならないことは、故人の安置場所です。

近年、コロナ禍が追い打ちをかけ、火葬場は365日のフル稼働。それにより待ち状況が深刻化し、東京や神奈川などの関東エリアでは、手配から火葬まで10日ほど待たされたというケースも。

ご遺体の安置日数が伸びた結果、葬儀費用が跳ね上がってしまうという不安や懸念もあることから、遺体安置の場所を事前に決めておくことはとても重要。とはいえ、住宅事情によっては自宅で安置をしたくてもできない場合も。

もっと早くに検討しておけばよかったと後悔の念で苦しむことがないよう、故人の遺体の安置について熟知しておきましょう。

遺体安置を自宅で行う方法

遺体安置を自宅で行う方法

自宅で遺体安置を行う方法はいくつかありますが、住宅環境によって対応が異なります。特に自宅に仏壇や神棚がある人は、既に自分たちで葬儀を成し遂げる素地が出来上がっていると言えますので、今のうちに正しい作法の手順や基礎知識を身に付けておきたいところ。

まずはご遺体を自宅に搬送する場面から想像してみましょう。

エレベーターが対応可能か確認する

戸建て住宅の場合はあまり問題はありませんが、マンションやアパートの場合は、搬送可能なエレベーターがあるかどうかを事前に確認しておく必要があります。

タワーマンションなど大規模マンションであれば、エレベーターが手狭であっても管理会社などに相談して他の搬入経路(救急搬送時にストレッチャーを入れる経路など)を開いてくれることもあるようです。

しかし、以下のような理由によっては葬儀社に搬送を断られることもありますから、事前に葬儀社に確認してもらうことが必要です。

  • マンションやアパートでエレベーターが使えない
  • 道路が狭く、自宅近くまで搬送車が入れない
  • マンションやアパートの規約によって遺体搬入ができない
  • 玄関や廊下が狭い
    など

仏壇の前に安置する

自宅に仏壇がある場合は仏壇の前に安置し、仏壇がない場合は畳のある部屋(和室)に安置しましょう。和室がない場合は、生前に暮らしていた部屋やリビングに寝かせてもかまいません。

布団周りを準備する

安置場所の確保したら、布団に新しいシーツと枕カバーをかけます。布団は必ずしも新品のものである必要はなく、生前に使っていた布団や寝具で十分です。ベッドを使用しても問題ありません。

故人の頭の向きは、全国的に「北枕」とされていますが、難しい場合は西方浄土に向けるという意味で、「西枕」でも良いとされています。住宅事情を考慮しながら過度に気にすることなく、自然な形で安置しましょう。

故人の手に数珠を持たせる

布団に故人を寝かせたら故人の顔に白い布をかぶせ、手は胸元で合掌させ数珠を持たせます。数珠は持ち主を守る厄除け(お守り)で、仏との縁を示す唯一の仏具。数珠を持たせることで、煩悩を消すという願いも込められています。

室温を低めに保つ

最も注意しなければならないのは、室温管理です。ご遺体の腐敗を遅らせるため、冷却と保存が大事なポイントとなりますから、ご遺体の周りにドライアイスを置いたり、エアコン・冷房などを使用して室温を18℃以下(目安)を保つよう心がけましょう。

また、扇風機の風をご遺体に直接あてると、遺体の状態を悪化させる可能性があります。さらに冬場であっても安置する部屋では、以下の電源はOFFにしておきましょう。

  • 加湿器
  • 床暖房
  • 電気カーペット
    など

神棚封じをする

自宅に神棚がある場合は、神棚の戸を閉じて白い布や半紙で封印する「神棚封じ」を行います。

神道では古来より「死」=穢れ(けがれ=気が枯れる)と捉えられ、神様は穢れがあると力を失ってしまうと考えられているからです。神棚封じを行うことによって死という非日常的な出来事を清め、日常の世界に私たちを戻すという意味合いがあります。

神棚封じを行う際の手順や注意点は、下記のとおり。

項目 内容
行う人 家族以外の方
(例:親族・葬儀社スタッフなど)
期間 50日間
ただし、地域によって期間が異なる
(例:父母の場合が50日間、祖父母の場合は30日間など)
手順
  1. 神棚の神様に挨拶する
  2. 家族の誰が亡くなったか報告する
  3. 神棚にお供えしている洗米や酒、榊など全てを下げる
  4. 神棚の扉を閉める
  5. 扉の正面を隠すように白い半紙を貼り付ける
    (半紙がない場合は、白紙でも可)

遺体安置を自宅で行う際に準備するもの

遺体安置を自宅で行う際に準備するもの

ご遺体を自宅安置する場合の事前準備について、5つの基礎知識を解説します。この世に執着を持ち現世に残ろうとする魂も、以下の準備によって無事に成仏へと導くことができるでしょう。

4畳以上のスペース

ご遺体を安置する部屋の広さは、4畳以上がおすすめです。

畳間や仏間に寝かせるのが好ましいですが、リビングや洋間でもかまいません。故人を安置する布団の広さだけでなく、本編で紹介する枕飾り枕経(まくらきょう=菩提寺の読経)を行う僧侶が座るスペースも必要です。

白く新しい寝具

故人が使う寝具は、下記のとおり白くて新しいものが良いとされています。

項目 内容
シーツ 新品もしくは洗濯済みのきれいなものを準備する。できれば、白色で統一。
枕カバー
掛け布団 薄い布団が良い。逆さ事(さかさごと=普段の使い方と逆にする)にして、頭側と足側の向きが逆になるようにかける。

故人の宗派に合った数珠

数珠は、あの世でも必要な物とされていますから、故人の宗派に合ったものを持たせましょう。宗派にこだわりがない人で別途用意する場合は、火葬のことを考えて木製の数珠がおすすめです。

模造刀やナイフなどの守り刀

浄土真宗を除く仏式では、布団の上に故人が魔物を払い死後の世界へ無事にたどり着けるようと願いが込めらた魔よけの「守り刀」を置きます。

守り刀は自宅にある小さな刃物(ナイフ・カミソリなど)でも問題ありませんが、遺体と一緒に守り刀も火葬されるため、燃やすことができる木製の模造刀がおすすめ。刃先が足側を向くよう胸元に置きます。

ただし、棺とともに一緒に燃やすか、棺を閉じるまでの間だけ使用するかなどの細かい処遇については、事前に葬儀会社に相談しておくと良いですね。

枕飾り

遺体の枕元に置かれるお供え物を「枕飾り」と言います。別名「仮祭壇」とも呼ばれ、枕飾りを用意して読経(=枕経)をしてもらうことで、故人の食欲・物欲が浄化されるという考えがあります。

仏教式の枕飾りには、白木台(または白色の布を掛けた台)と三具足(みつぐそく/さんぐそく)が設けられることが一般的です。三具足とは、以下のものをセットにした言葉です。

  • 香炉(こうろ)
  • 燭台(しょくだい)
  • 花立(はなたて)

なお、飾り方は以下のとおり宗派や地域の風習によって内容が異なりますので、判断に困った場合は葬儀社に相談してみましょう。

宗教名 お供え物 主な特徴
仏教
  • 香炉
  • 燭台
  • 花立て ※1
  • 枕団子 ※2
  • 一膳飯 ※3
  • 鈴(リン)
  • ※1 樒(しきみ)を一本飾るが、ない場合は百合の花、菊、水仙などで代用することも
  • ※2 六道(=輪廻転生する6種の世界)を巡るため、6個置かれることが多いが、地域によっては11個の場合も
  • ※3 故人の茶碗にご飯をよそい、中心に箸を2本立てる
  • 浄土真宗では枕団子、枕飯、水は飾らない
  • お参りの際、御線香は立てずにねかせる
神道
  • 燭台
  • 花立て ※1
  • 三方 ※2
  • 常饌(じょうせん)※3
  • ※1 榊(さかき)を飾る
  • ※2 お神酒、水、塩、洗米を供える
  • ※3 故人の好きだった食べ物など、普段の食事を供える
キリスト教
  • ろうそく
  • 百合の花
  • 十字架
  • パン
【カトリックの場合】
聖油(顔に塗る油)が用意されることもある【プロテスタントの場合】
白い花・ろうそく・聖書が置かれる

末期の水を取る流れ

末期の水を取る流れ

末期の水(まつごのみず)とは、別名「死に水」とも言われ、以下のような儀式とされています。

  • 仏教における大事な葬送の儀式
  • 故人に対して最初に行われる儀式
  • 臨終に立ち会った人たちが故人の唇に水で濡らす儀式

その由来は諸説ありますが、お釈迦様が亡くなる直前に弟子に水を求めたという話が有力になっています。

仏教以外の宗教・宗派でも行われることがあるようですが、浄土真宗では末期の水を行うことはなく、また地域によって用意するものや手順が異なることも。

喪主になる人は末期の水の目的や手順を熟知し、感謝の気持ちを込めて故人の唇を濡らしてあげましょう。

目的

末期の水は、亡くなった方の喉の渇きを潤す目的で執り行われる儀式。以下の二つの願いが込められています。

  • 故人があの世で喉が渇いて苦しまないように
  • 故人が生き返ってくるように

行う人の順番

末期の水を行う人は、その場に立ち会っている家族と親族。一般的には、故人との血縁が濃い順番に行われ、臨終に立ち会った全ての人が行います。下記は、末期の水を行う人の順番です。

  • 1.配偶者
  • 2.子供
  • 3.両親
  • 4.兄弟
  • 5.兄弟の配偶者
  • 6.孫
  • 7.その他

あくまでその場に立ち会っている人の中での順番であり、遅れて到着する家族を待つ必要はありません。また、故人の孫がまだ小さいといった場合も、無理に参加させる必要はありません。

手順

以下は末期の水を行う手順です。地域や宗教によって手順が異なるケースもありますので、葬儀社にサポートしてもらうと安心ですね。

  • 1.小皿などを用意して水を入れておく
  • 2.箸の先に脱脂綿を巻き付けて、糸や輪ゴムなどでくくる
  • 3.脱脂綿を水で湿らせて、故人の唇に優しくあてる(上唇:左→右、下唇:左→右)
  • 4.最後に故人のおでこ、鼻、顎(あご)の順に拭いて完了

必要なもの

末期の水に必要なものは、以下のとおり。

必要なもの 補足
脱脂綿 脱脂綿の代わりに、ガーゼ、樒(しきみ)、菊の葉、鳥の羽などを使うこともある
新しい割り箸 箸の代わりに、新しい筆(細目の白い筆)を使うこともある
水の代わりに、故人が好きだった飲み物やお酒を使っても良い
輪ゴム
お椀

遺体安置を自宅で行うのは何日間まで?

遺体安置を自宅で行うのは何日間まで?

日本の法律「墓地、埋火葬に関する法律」の第3条によって、「死亡後24時間は火葬してはいけない」と定められているため、自宅での遺体安置期間は最短で1日ということになりますが、逝去後の翌日に必ずしも通夜ができるわけではないため、2日~3日程度は自宅安置することになります。

適切に温度管理をした状態であれば、最長で7日間は自宅安置できるとされているものの、遺体の腐食の進行を考えて、4日目には霊安室に移動することが望ましいです。保冷効果が高い棺に入れた状態で安置しましょう。

遺体安置を自宅で行う際にかかる費用

遺体安置を自宅で行う際にかかる費用

ご遺体を自宅で安置する場合、施設利用料や付き添い費用が発生しないものの、以下の費用はあらかじめ準備しておきましょう。

項目 費用相場
ドライアイス 約1万~2万円/日
枕飾り 約1万~3万円
遺体搬送 約2万円/10km

遺体搬送業者の相場は、上記のとおりですが距離が増えると当然ながら料金も高くなります。ただし、葬儀社によっては、50km圏内であれば追加料金なし(無料)ということや、搬送・安置に必要な一式が含まれた「定額プラン」が用意されているケースもあります。

遺体安置するお宅へ訪問する際のマナー

遺体安置するお宅へ訪問する際のマナー

遺体安置するお宅へ訪問する際は、ご遺族の迷惑にならいよう配慮した行動が必要です。生前、故人と深い仲だった人であっても、マナーは大切。

作法を知らないままだとご遺族の方々に対して失礼にあたりますから、許可や確認が必要な場面を知って、マナーの達人になってくださいね。

事前の確認は必須

逝去されてから通夜や葬儀の日まで数日間安置されている間にお宅へ弔問に伺いたい場合は、必ず訪問先に許可を得るようにしましょう。

一般的に通夜の直前は遺族も忙しく、家族だけで最後の時間を過ごしていることも多いため、相手の都合に合わせてどのくらいの時間に行けば迷惑をかけないかを事前に確認しておくことは必須事項です。

地味な平服で伺う

遺体安置するお宅へ訪問する際は、地味な平服で伺うようにしましょう。以下、服装に係る留意点です。

項目 服装 留意点
服装 地味な平服(紺、茶、グレーなど)
ビジネススーツ
喪服 ×(通夜・葬儀以外の弔問では喪服はマナー違反)
カジュアルな普段着(Tシャツ、ジーンズなど) ×(女性は肌の露出が少ない服で)

アクセサリーやお化粧についても、地味にしておくのが基本です。

項目 留意点
アクセサリー 付けない(ただし、結婚指輪はOK)
化粧 薄化粧が基本(派手なネイルも×)

故人との直接の対面は促された場合のみ

故人を前にした際に、勝手に許可なく故人の顔を見るのはマナー違反ですから、遺族に案内された場合のみ従うようにしましょう。対面の手順は以下を参考に。

  1. 故人の近くに行き枕元に正座をする
  2. 両手を床について一礼
  3. 遺族が顔にかかっている白い布を外したら、正座のままでご対面
  4. 再び深く一礼と合掌を行い、故人のご冥福をお祈りする
  5. 最後に遺族に一礼し、その場を離れる

さらに故人と対面中に死因を聞いたり、昔話を話し始めるのもマナー違反。あまり長居をしすぎるのも控えましょう。

訪問時の香典は不要

遺体安置中の面会時に香典は不要です。もしお通夜や葬儀に行けないという理由でどうしても面会時に香典を渡したい場合は、事前に確認をとって渡すことは可能です。

お悔やみの挨拶をする

故人と面会をして顔だけを見て、お悔やみの言葉を伝えないのは失礼にあたります。遺体安置中の面会では故人の遺族や親族の気持ちを考慮し、以下のようなお悔やみの言葉をきちんと伝えるようにしましょう。

  • ご愁傷さまです
  • ご冥福をお祈りします
  • お悔やみ申し上げます
  • 残念でなりません
  • 哀悼の意を表します
    など

遺体安置を自宅で行うメリット

遺体安置を自宅で行うメリット

遺体安置を自宅で行う最大のメリットは、様々な制約を受けずに故人と最期の時間を過ごせることではないでしょうか。

例えばペットを飼っていた故人と遺族にとっては、いつもの空間で家族水入らずの時を過ごせる点も自宅安置の魅力。あなたにとって、自宅安置にはどんなメリットがあるか探ってみましょう。

故人が自宅に帰ることができる

例えば長年の闘病生活で入院が長かった故人であれば、住み慣れた家に帰りたいと何度も願ったことでしょう。

窓から見える庭の草花、家族と過ごしたリビング、安らぎの和室など、長年愛する家族と過ごした家というのは心から落ち着ける場所。病院や介護施設での生活が長かった故人にとって、自宅に帰ることができることは、贅沢なことかもしれませんね。

そんな「また自宅に戻りたい」という故人の願いを叶えることで、遺族としても安堵できるのではないでしょうか。

遺族がゆっくりお別れできる

自宅安置であれば、面会の時間に制限がないため、遺族が故人と十分な時間を一緒に過ごすことができます。

遺族が人目や時間を気にせず思いきり泣いたり話したり、溢れる感情を出してゆっくりお別れができる点もメリットと言えるでしょう。

安置の費用がかからない

近年では火葬場の待ち状況が深刻化していることから、葬儀場など自宅以外の施設に遺体を安置し続けた結果、葬儀費用が跳ね上がってしまう心配がある一方で、自宅安置の場合は施設費用が発生する心配もありません。

安置の費用がかからないことに加えて、故人と縁が深かった親戚・知人・友人が面会を希望する際にも、時間や回数の制限が生じることなく自由に対応できるのもメリットですね。

遺体安置を自宅で行うデメリット

遺体安置を自宅で行うデメリット

ご遺体を自宅安置するメリットがある一方で、当然のことながらデメリットも。

自分ではどうしようもないレベルのものから、住宅環境によってはさほど問題ないレベルまで様々ありますので、あなたにとってデメリットにあたる内容かどうか判断してみてください。

装飾や搬入の確認などやることが多い

一昔前の典型的な日本家屋では、玄関も広く、襖(ふすま)を取り外せば大きな部屋を作ることが可能でしたが、核家族化や地縁の希薄化が進んだ現代人の住まいは、基本的にコンパクトサイズ。

ご遺体を自宅で安置する場合、故人を布団に寝かせるだけでなく、枕飾りなど布団周りのスペースを確保したり、面会者が入るだけの余裕も必要ですから、間取りに余裕のないマンションやアパートでは安置のスペースを確保することが難しく、自宅での安置が不可能な場合も。

ご遺体の搬入・搬出、安置ができるかどうか、事前に葬儀社に電話連絡・相談・依頼をしたり、故人を受け入れる装飾の準備をしたりと、やることが多くなってしまうのはデメリットと言えるでしょう。

ご遺体の適切な保存が難しい

自宅安置を行う場合は、温度管理が最も重要です。腐敗の原因となる酵素や細菌は4℃以下で活動が低下することから、遺体の状態を悪化させないために身体を冷やすことを常に考えながら過ごさなければなりません。

ドライアイスが当たっている箇所は冷やせても、当たっていない箇所から腐敗が始まったり、そもそもドライアイスの扱いに慣れていない遺族にとっては難しく危険なことも多いので、ご遺体の適切な保存については専門業者に任せたほうが楽で安心かもしれません。

近隣住民に知られてしまう

家の近くに霊柩車(寝台車)が駐車してご遺体を運ぶ様子は、周囲からどうしても目立ってしまうため、近隣住人に知られてしまうリスクがあります。

特にマンションやアパートではエントランス・エレベーター・廊下などの共用部分を使って移動するため、近所の住民へ説明するなどの配慮が欠かせませんし、普段顔を合わせる機会がほとんどない人からどう思われているかなど、余計なことを案じてしまうものです。

遺体安置を自宅で行う際によくある質問

遺体安置を自宅で行う際によくある質問

核家族化と地域のつながりが希薄になっている私たちの暮らしにおいて、ご遺体を自宅安置するとなると不安を感じることもあるでしょう。

昔の習わしを知ったり正しい作法を身に付けることも大切ですが、厳密になりすぎずライフスタイルに合わせていくことも必要です。

よくある質問も昔ながらの風習と現代事情が交差しているものばかりですが、不安にならず、やりやすい方法を選択してください。

線香を絶やしてはならない?

一昔前は、自宅でご遺体を安置する際、親戚が数人集まり夜通し線香やロウソクの火を見守る番(寝ずの番)をしていました。現代においても、地域によっては遺族は自分たちで線香やロウソクの火を絶やさないよう見守るという習わしが存在します。

線香やロウソクを絶やしてはいけない理由として、仏教の教義体系を整理・発展させた論書「阿毘達磨倶舎論(あびだつまくしゃろん)」によると、以下のような諸説があります。

  • お香の香りで故人が迷わないようにするため
  • お香を焚くことで心身を清浄するため
  • 浄土への道を照らすため
  • お香でご遺体の消臭をするため
    など

しかし、現代では以下のような配慮から、線香やロウソクの火を消しても良しとされるように変わりつつあります。

  • 遺族の負担を減らす
  • 火災の危険性
  • 健康面への配慮
  • 遺体の保存技術が向上した
    など

電気をつけ続けるべき?

結論から申し上げると、電気は消しても大丈夫です。

仏教では四十九日の法要までは灯りを絶やしてはいけないと言われていたことが現代では照明に転じたため、四十九日までは電気をつけっぱなしにすると言われるようになりました。仏教の中でも各宗派によって考え方が異なりますが、故人を悼む気持ちのほうが大事とされ、無理につけたままにする必要はありません。

ただし、考え方は地域や家庭によって変わりますので、家族や親戚と相談しながら決めると良いですね。

なんとなく怖い

ご遺体の腐食を防ぐためにドライアイスを使用することも多い自宅安置で、注意しておかなければならないことといえば「二酸化炭素中毒による死亡」の危険性です。

ドライアイスは氷と違い、気化する時に「二酸化炭素」を発生させます。二酸化炭素中毒で怖いのは、中毒になるまで気づかないということ。例えばドライアイスを使用したご遺体と狭い部屋でドアを締め切って寝ている間に、そのまま意識不明になる恐れがあります。

故人と夜間も一緒に過ごしたい場合は、必ず扉(ドア)を開けておくことが必要ですが、二酸化炭素中毒が怖い人はご遺体と同じ部屋で寝ないようにしましょう。

遺体安置を自宅で行うならご遺体の適切な保存が必須

遺体安置を自宅で行うならご遺体の適切な保存が必須

遺体安置を自宅で行う場合は、ご遺体の適切な保存が最も重要ですから、自分の住宅環境が遺体安置に適しているかどうか、家族や親戚と確認しながら決めてほしいと思います。

一般社団法人「全日本冠婚葬祭相互協会」のアンケート調査によると、1990年までは約50%を占めていた「自宅」でお葬式を行うスタイルが、2011年以降では85.6%が「斎場」へと推移しています。

家族葬や直葬など少数で執り行う葬儀が増加する中、今後さらに自宅安置は減少することが予想される日本において、死者を弔う風習がどのように変容していくか今後も注視していきたいと思います。