身近な方を亡くされた直後は、さまざまな場面でマナーやしきたりに戸惑うことが多いものです。
特に自分が喪中のときにお中元をどうするべきかは、「贈ってもよいのか」「受け取ったときはどう対応するのか」など、判断に迷う方が少なくありません。
この記事では、自分が喪中の場合のお中元の贈り方や受け取り方、さらに相手が喪中の場合に気をつけたいマナーについて分かりやすく解説します。
大切な人のご縁や気持ちを大事にしつつ、失礼のない対応をしたい方は、ぜひ続きをご覧ください。
自分が喪中のときにお中元を贈ることのマナーとは

自分が喪中の場合、お中元を贈る際には通常よりも配慮が必要です。
相手との関係性やお互いの立場を考慮しつつ、しきたりやマナーを守って気持ちよく贈り物をしましょう。
喪中の期間と忌中との違いを理解する
喪中とは、近親者が亡くなられてからおよそ1年間、故人を偲んで慎む期間のことです。
一方、忌中は故人の死後49日間を指し、より慎重にふるまう必要があります。
忌中の間は、お祝い事や贈り物を控えることが一般的です。
喪中は慶事は避けますが、日常生活に戻る過渡期でもあるため、お中元を贈ること自体はマナー違反にはなりません。
期間 | 意味 | 注意点 |
---|---|---|
忌中 | 故人の死後49日間 | 贈答や祝いごとを避ける |
喪中 | 故人の死後1年間 | 祝いごとは控えめにするが、贈り物は可能 |
適切な贈る時期を選ぶ
お中元を贈る時期は地域によって異なりますが、一般的に7月初旬から7月15日までに贈るのが基本です。
ただし、忌中にあたる場合は49日を過ぎてから贈る配慮がきれいです。
また、どうしても時期がずれてしまう場合は、「残暑見舞い」として贈り方を変える方法もあります。
熨斗や水引の選び方に注意を払う
喪中でお中元を贈る場合は、華やかな水引や「のし」が付いた贈り物を避けます。
のし紙を使う際は、無地や白無地のものを選び、水引も控えめなものにしましょう。
表書きには「お中元」とし、贈り主名を書きますが、お悔やみを連想させる言葉や装飾は避けましょう。
- 無地のしや白無地短冊を使用
- 紅白の水引は使わず、控えめな仕様にする
- 表書きは「お中元」のみ
喪中時に避けた方が良い贈り物
喪中である自分から送る場合、お祝いごとを連想させる品物や、派手な包装は避けるのがマナーです。
日本酒などのアルコールや紅白まんじゅうなど、祝い事向けの贈り物はふさわしくありません。
生ものや消費しやすい食品、お茶などが無難とされています。
時期外れの場合は「残暑見舞い」の活用
お中元の時期に間に合わない場合は、8月7日以降から立秋の終わりまで、「残暑見舞い」として贈る形がおすすめです。
残暑見舞いにすることで、時期外れの贈り物も自然に相手に届けることができます。
この場合も、控えめな包装や簡素な熨斗を選ぶことが大切です。
自分が喪中のときにお中元を受け取った場合の対応策

自分が喪中の期間中にお中元を受け取ると、どのような対応をしたら良いか迷う方が多いです。
喪中であっても、お中元自体は日常のお付き合いの一部と考えられ、基本的に受け取って問題ありません。
しかし、通常時とは異なる点や気をつけたいマナーがあります。
ここでは、お礼状の書き方やお返しについて押さえておきたいポイントを紹介します。
お礼状を送る際のポイント
喪中のときにお中元をいただいたら、お礼状を送ることが大切です。
内容は、贈り物への感謝を伝えるとともに、自身が喪中であることに触れて控えめな表現を心がけましょう。
お祝いごとの言葉や華やかな表現は避け、シンプルかつ丁寧な文章にまとめるのがマナーです。
- 「このたびはご丁寧にお中元の品を賜り、心より御礼申し上げます。」
- 「私事ながら、現在喪中のため略儀ながら書中にて失礼をお許しください。」
- 「ご厚意に感謝しつつご挨拶申し上げます。」
これらのフレーズを参考に、落ち着いた気持ちで感謝の気持ちを伝えましょう。
お礼状はできるだけ早めに送り、相手に失礼のないよう心がけることも大切です。
贈られた品物に対するお返しのマナー
喪中でお中元をいただいた場合、必ずしもお返しをする必要はありません。
しかし、特にお世話になった相手や、特別な心遣いを感じた場合には、お返しを検討しても良いでしょう。
状況 | お返しの有無 | 品物の例 |
---|---|---|
一般的な関係 | 不要 | – |
特別にお世話になった場合 | 必要に応じて | お菓子、日用品など |
お返しをする場合は「御礼」「志」などの表書きを用い、品物は控えめで日常使いできるものを選びましょう。
また、時期も早めに手配することで、感謝の気持ちがより伝わります。
なお、相手が喪中の場合も同様に配慮が求められますので、その時は個別に対応を考えると良いでしょう。
相手が喪中のときにお中元を贈る際の配慮

自分がお中元を贈る相手が喪中の場合、通常とは異なる配慮が必要となります。
相手の心情に寄り添い、不快感や無用な気遣いを与えない心づかいが大切です。
ここでは、実際にどのようなポイントに注意してお中元を贈ればよいかを解説します。
四十九日を過ぎたタイミングで贈る
喪中の家庭へのお中元は、四十九日の忌明けを過ぎてから贈るのが一般的です。
四十九日が過ぎていない場合は、お中元の時期であっても贈るのを控えた方が相手の負担を和らげられます。
贈りたい気持ちが先行しても、四十九日法要が終わるまで待つのがマナーとされています。
故人宛にならないよう、宛名に配慮
お中元を贈る際は、必ず宛名がご家族や喪中の方個人になっているか確認しましょう。
故人の名前宛や、「ご家族一同様」など曖昧な表現は避けるべきです。
具体的には、次のような注意点があります。
- 喪中の本人や現在の世帯主をフルネームで記入する
- 連名にするなら、存命の方のみ記載する
- 「〇〇家ご一同様」とは書かない
お中元を受け取る側が戸惑わないよう、最新の宛名を用意しましょう。
お中元の内容に適した品の選び方
喪中のお宅に贈るお中元は、基本的に華美にならず落ち着いた品が好まれます。
お菓子や果物、飲み物など、日常的に使えるものを中心に選ぶと良いでしょう。
おすすめの品 | 避けたい品 |
---|---|
果物・ゼリー・ジュース | 花・紅白のお菓子・生もの(魚等) |
お茶・コーヒー・調味料セット | 祝いの意味合いが強い品 |
受け取る方のお気持ちやご家庭の事情もよく考えて、慎重に品物を選びましょう。
のしは控えるか、白い無地の奉書紙を使用
喪中の家へお中元を贈る際は、一般的なのし(紅白帯)は使わずに贈るのがマナーです。
特に華やかな水引や熨斗飾りは避け、簡素な白無地の奉書紙で包んで贈る配慮が必要です。
地域やご家庭の習慣によっては、のしそのものも省略する場合があります。
迷った場合は、贈る前にご家族へ直接確認すると安心です。
相手の心情に配慮した言葉選び
お中元に添える挨拶状やメッセージは、慰めやお悔やみの言葉を含めて、相手への思いやりが伝わるように心がけましょう。
お祝いごとを連想させる表現や「おめでとう」などの言葉は避けます。
たとえば、次のような文例が参考になります。
良い例 | 避ける例 |
---|---|
ご家族の皆様に、ささやかではございますが、季節の品をお届けいたします。 | ご家族のご多幸をお祈り申し上げます。 |
このたびのご不幸に際し、心よりお悔やみ申し上げます。 | 盛夏の候、ますますのご繁栄をお祈りいたします。 |
お中元の風習を大切にしつつ、心のこもった温かい言葉を添えることが大切です。
喪中時のお中元マナーを守るために知っておくべきこと

これまで、喪中期間のお中元の考え方や贈る際のマナーについて解説してきました。
大切なのは、相手への気遣いを忘れずに、マナーに沿った形で贈り物やご挨拶を行うことです。
喪中だからと言って必ずしもお中元を控える必要はありませんが、タイミングや表書き、贈り先の状況をしっかり確認し、自分の立場や相手の気持ちを配慮して選択することが重要です。
マナーを守ることは、相手を思いやる気持ちの表れです。
迷った時は、先方に一言確認や相談をしたり、時期をずらしたりすることで円満な関係を維持できます。
喪中時期の贈り物は、普段以上に心づかいが問われる場面ですが、その分誠意が伝わりやすくもなります。
ぜひ今回ご紹介したポイントを参考に、先方との良好な関係を大切にしてください。