直葬の費用相場は?後悔しないためのポイントや自分で行う注意点

あらゆる葬儀の中で最もシンプルな死者の弔い方をする直葬。

直葬といえば、以前は経済的に苦しい人への福祉的なサービスとして行われる葬儀でしたが、近年では核家族化・高齢化・コロナ禍などの社会的背景から、大都市圏では5件に1件以上が直葬を選択する時代となっています。

葬儀に対する意識が変わり始めているとはいえ、小規模な葬儀が増えてきたのはここ10〜15年のこと。新しい葬儀だからこそ、思いもよらない問題やトラブルが発生することも。

そこで本記事では直葬の費用相場をはじめ、後悔しないためのポイントや自分で行う際の注意点についてお伝えします。

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直葬とは?

直葬とは?

直葬はお通夜や告別式を行わず、火葬のみで故人をお見送りする葬儀形態のことです。最大の特徴は、費用を安価に抑えられること。直葬の平均的な費用は10万円~30万円となっており、他葬儀の平均価格(100~300万円)と比較すると10分の1ほどの費用となっています。

また、直葬では家族や近親者、親しい友人など数名~10名ほどで集まって行うことが多く、基本的にはお返しが必要になる香典・供花、お布施の用意も不要です。短い時間で簡素ながらも、故人の生前の趣味を生かしたオリジナル性を出すことも可能なことから、自由度が高い葬法のひとつとなっています。

火葬との違い

直葬は火葬式とも呼ばれますが、葬儀の名称が違うだけで内容や形式は同じです。

火葬とは、明治時代以降の日本で一般的となった葬法のひとつ。火葬(直葬)も参列者は身内中心となり、お通夜・告別式の儀式を行わず、直接火葬場でご遺体を焼却して残った遺骨を収骨し葬ります。

直葬する人は増加傾向にある

直葬はもともと生活困窮者がやむなく選択する葬儀でしたが、近年では核家族化・少子高齢化などの社会構造の変化や、多忙な現代人の生き方に対するニーズを背景に、直葬を希望する人は増加傾向にあります。

直葬は会食費や斎場使用料を支払う必要がないという経済的なメリットに加えて、シンプルかつ短時間で葬儀を執り行うことができるため、精神的にも身体的にも負担が少ないことが人気の理由となっています。

直葬・火葬の費用相場を地域別に解説

直葬・火葬の費用相場を地域別に解説

直葬の最大の魅力は、一般葬よりも圧倒的に費用が抑えられること。以下は、直葬と他葬儀の費用相場(全国平均)を比較したものです。

葬儀の種類費用相場
直葬36万円
一般葬191万円
家族葬110万円
一日葬45万円

以下、直葬にかかる地方別の平均相場です。

地方名平均相場
北海道・東北地方約36万円
関東地方約37万円
中部地方
関西地方約35万円
中国・四国地方
九州・沖縄地方約32万円

上記のように、地域によっては火葬場の料金や人件費の格差によって相場に差があります。お財布事情を考慮しつつも、慈悲の心を忘れず故人様を送り出すために、直葬にかかる費用の内訳と主要都市の相場をご覧ください。

費用の内訳

全国的に見てみると、直葬にかかる費用相場は20~30万円ほど。この金額は、火葬場に納める火葬料金と葬儀社に支払う費用の合算です。 ただし、オプション商品・サービスを追加した場合や、ご遺体の状態などによってはさらに費用は高くなります。

以下は、直葬にかかる費用の一例です。

支払先費用名称費用相場(目安)説明
火葬場火葬料金
  • 公営の場合
    無料~4万円
  • 民営の場合
    3万円~6万円
  • 自治体住民であれば公営の火葬場を利用可
  • 公営の方が民営よりも費用が低く抑えられる
葬儀社搬送料金1万円~2万円/10km
  • 寝台車や霊柩車で以下の2回分の搬送が必要
  • 亡くなった場所(病院・老人ホームなど)→安置所、安置所→火葬場
  • 長距離、深夜・早朝は割増料金になることが多い
安置施設使用料1万円/1日自宅以外に、葬儀社指定の安置施設や遺体保管専門施設を使用する場合に必要
棺桶代3万円~5万円木棺、布張棺などの素材によって値段が変わる
骨壷代5千円~3万円無地、絵柄付き、サイズなどによって値段が変わる
ドライアイス代8,000円~1万円/1日季節や使用料によっては値段がプラスされることも
手続代行費用5万~15万円葬儀や火葬に関する手続き代行を依頼する場合に必要
スタッフ費用3万円~10万円人件費や運営費として

東京

東京都23区内と23区外を比較すると、23区外のほうが火葬場も多いため、割引制度も豊富で料金相場も安い傾向があります。以下は、東京都内の火葬に関わる料金相場の傾向を表したもの。

区別種類所数斎場名所在地料金相場
23区内公営2ヶ所瑞枝葬儀場江戸川区
  • 東京都民は59,600円
  • 上記以外は71,520円
臨海斎場大田区
  • 故人または施主が該当区民(大田区・目黒区・世田谷区・品川区・港区)の場合は、4万円。
  • 上記以外は8万円
民営7ヶ所町屋斎場荒川区
  • 75,000円~145,000円(大人)
  • 火葬炉は79炉あり
  • 火葬炉の等級により相場が変わる
四ツ木斎場葛飾区
桐ケ谷斎場品川区
代々幡斎場渋谷区
落合斎場新宿区
堀ノ内斎場杉並区
戸田葬祭場板橋区
23区外公営16ヶ所青梅市民斎場青梅市
  • 0円~10万円
  • 自治体住民は低価格で利用可
  • 地域によっては火葬料が無料の場合もある
立川聖苑立川市
八王子市斎場八王子市
日野市営火葬場日野市
府中の森市民聖苑府中市
南多摩斎場町田市
瑞穂斎場西多摩郡
ひので斎場西多摩郡
大島町火葬場大島町
小笠原村父島火葬場小笠原村
小笠原村母島火葬場小笠原村
神新島村火葬場神津島村
津島村火葬場新島村
式根島火葬場新島村
八丈町火葬場八丈島
三宅村火葬場三宅島
民営1ヶ所多摩葬祭場府中市
  • 78,000円~165,000円(大人)
  • 火葬炉の等級により相場が変わる

大阪

大阪府の火葬料金は、大人一人あたり1~2万円の市町村がほとんどです。火葬場は、各市町村が運営する公営の火葬場を利用します。

火葬料金には「市民料金」と「市外料金」があり、故人の住所票がある市町村の火葬場を利用する場合は「市民料金」が適用されます。適用条件は、市町村で少し異なります。以下、大阪府の火葬料金(大人)の一例です。

市町村名火葬料金(大人の場合)
堺市2万円
泉大津市
柏原市
河内長野市
岸和田市
高石市
忠岡町
泉佐野市18,000円
貝塚市15,000円
和泉市1万円
大阪市
富田林市
大阪狭山市8,000円

大阪府内には火葬場が無い市町村もあります。火葬場がない場合は、近隣市町村の火葬場を「市外料金」で利用することになります。

項目内容
火葬場が無い市町村
  • 松原市
  • 羽曳野市
  • 河南町
  • 太子町
  • 千早赤阪村

札幌

北海道札幌市にある2つの火葬場(里塚斎場・山口斎場)は、いずれも公営です。故人またはその家族が札幌市民であれば火葬料は無料で利用でき、どちらの斎場が利用するかは、故人の住所もしくは葬儀場の所在地によって定められています。

斎場名故人または葬儀場の所在地
里塚斎場白石区、厚別区、豊平区、清田区、南区
山口斎場中央区、北区、東区、西区、手稲区

以下は、里塚斎場(札幌市清田区)・山口斎場(札幌市手稲区)の火葬場料金です。

区分札幌市民の料金札幌市民以外の料金
12歳以上無料49,000円
12歳以下4万円
死胎児23,000円
埋葬(土葬)された死体12,000円
その他(体の一部など)1kgごとに600~1,000円

控室の料金は以下のとおり。

区分札幌市民の料金札幌市民以外の料金
特別控室(1室あたり)2万3,000円

霊安室の料金は以下のとおり。

区分札幌市民の料金札幌市民以外の料金
特別控室(1室1時間あたり)100円

火葬のプラン例を比較

火葬のプラン例を比較

サービス名プラン名費用(税抜)人数ご安置
小さなお葬式小さな火葬式159,000円1~10名程度
  • 自宅安置OK
  • 預かり安置(3日まで)OK
  • 付添い安置は、別途55,000円が必要
よりそうお葬式シンプルプラン91,000円預かり安置は2日まで
(面会なし)
イオンのお葬式火葬式185,000円預かり安置(自宅安置)は3日まで

上記料金のほかに、火葬料金が別途かかります。また、オプションを追加すると価格が高くなりますので、必ず見積もりをとって総額で確認しておきましょう。3社ともクレジットでのお支払いやローン分割払いが可能で、希望に合ったプランを提案してもらえます。

あなたに寄り添ってくれる嬉しい割引特典もありますから、それぞれの提示プランを確認していきましょう。

小さなお葬式

小さなお葬式は、親族も故人も高齢なので家族のみでお見送りしたい・火葬のみでもお坊さんには供養してもらいたいという方にぴったりのサービスです。

火葬のみを行う「小さな火葬式」は、付き添いの安置に別途費用がかかるものの、3日間は安置してもらえる上、安置中の面会も1時間ほどできるため、ゆとりをもって故人様を送り出すことができます。

「小さな火葬式」プランの費用に含まれるものは、以下のとおり。

  • 搬送代
  • 安置
  • ドライアイス
  • 枕飾り一式
  • 線香・ろうそく
  • 棺・棺用布団
  • 仏衣一式
  • 運営スタッフ
  • 納棺
  • 白木位牌
  • お別れ用花束
  • 手続き代行
  • 骨壺・骨箱
  • 自宅飾り一式

オプションとして、下記内容を付けることも可能。

項目価格(税抜)
花オプション20,000円~
故人の体の清め・着替え・整髪・化粧など60,000円~
寺院へ合同納骨(証明書付き)39,000円~
お坊さんの手配80,000円(定額)

お寺との付き合いがない人は、定額でお坊さんを手配してくれるので、檀家に入る必要がない点も気楽ですね。さらに「小さなお葬式」への事前相談・無料資料請求で葬儀プランが5万円割引される点も大きな魅力。

事前の相談・資料請求は、以下のお客様ダイヤルサポートをご利用ください。

電話番号備考
0120-210-963受付は24時間365日
通話料無料

よりそうお葬式

よりそうお葬式では、「シンプルプラン」が最も格安。預かり安置は面会がなく、お別れまでの時間も3~5分程度と短いため、流れを簡略化したい人やとにかく費用を安価に抑えたい人にぴったりです。もう少し丁寧に故人を見送りたい場合は、別のプランを案内してもらうことも可能です。

シンプルプランに含まれるものは、以下のとおり。

  • 寝台車(搬送)
  • 預かり安置
  • ドライアイス
  • 手続き代行
  • 棺一式
  • 納棺
  • 仏衣一式
  • 運営スタッフ
  • 収骨
  • 骨壺・骨箱・骨覆

人気のオプションプランは、以下のとおり。

項目価格
お坊さん手配55,000円~
お別れ花Sサイズ22,000円~

事前に資料請求する場合は、1万5,000円の割引が適応されます。無料相談・資料請求は、以下までご連絡を。

電話番号備考
0120-541₋680受付は24時間365日
通話料無料

イオンのお葬式

イオンのお葬式の「火葬式」では、火葬までにかかる必要なサービスが全てセット料金に含まれています。

また、イオンのお葬式では火葬式のほかにも、永代供養・樹木葬・ペット葬など幅広く手掛け、様々なニーズに対応しているのが特徴。

お支払の際にイオンカードが利用できてポイントが貯まるという特典も、遺族にとっては助かりますね。オプションサービスが充実しており、日程が合えば当日に生演奏をしてもらえる点も他社にないサービスと言えるでしょう。

火葬式プランに含まれるサービスや備品は、以下のとおり十分揃っています。

  • 安置
  • 寝台車
  • お預かり安置(自宅安置)
  • 枕飾り一式
  • 線香・ローソク
  • 保冷剤またはドライアイス
  • 役所・火葬手続き代行
  • 納棺 お棺(布張白)
  • 納棺の儀式(仏衣・棺用布団付き)
  • 遺影写真
  • 白木位牌(仮位牌)
  • 寝台車
  • お別れの儀式 (出棺前)
  • 焼香設備(レンタル)
  • スタッフ
  • 骨壺(白無地)

以下の充実したオプションも魅力ですが、当然のことながら欲張りすぎると高額に。

主なオプション内容価格(税込)
故人の身支度を整えて棺に納める専門家の手配
(メイク、着せ替え、清拭、納棺など)
49,500円~99,000円
付添安置の部屋55,000円
貸衣装 喪服・礼服のレンタル14,080円
エンバーミング(長期保全・防腐・修復)要問合
生演奏(楽器演奏者手配)

無料資料・見積請求で5,500円の割引あり。お葬式の相談は、以下のフリーダイヤルへお問合せください。

電話番号備考
0120-635-014受付は24時間365日
通話料無料

直葬・火葬のメリット

直葬・火葬のメリット

直葬のメリットは、「経済的」「心理的」「肉体的」な負担が軽い点です。

宗教者や会葬者に気を遣う必要が一切なく、喪主や喪家の立場になって堅苦しい挨拶をする必要もありません。余計な労力を消費せずに済みますから、故人の逝去を偲びつつ最期の対話を交わすことも可能になるでしょう。

費用が低価格で済む

直葬の最大のメリットは、他葬法と比べて圧倒的に費用が抑えられる点です。

一般的な葬儀を行う場合は100万円以上かかるケースがほとんど。一方、直葬は基本的に食事の場を設けることもなく、僧侶などの宗教者が不在で参列者も最小限に抑えられますので、接待や香典・供花の香典返し(返礼品)にかかる費用も抑えることができ、総額で20万円程度に抑えることも可能です。

準備が少ない

一般葬であれば、通夜・告別式を経て、豪華な祭壇や「精進落とし」と呼ばれる会食の場を準備するものですが、直葬では会食も宗教的な儀式も不要であるため、各方面の連絡や手配などの準備が少なくて済みます。準備が少ないため、遺族の心理的負担が軽くなることは大きなメリットと言えるでしょう。

短期間で完了する

直葬では葬儀に縛られる時間が短いため、多忙な現代社会に生きる私たちの暮らしに適していると言えます。

一般的な葬儀は、通夜・葬儀・火葬・参列者との会食を全て含めると3日ほど日数がかかりますが、直葬では火葬まで1時間程度で完了するため、日常生活への影響が少ないです。多忙な現代人や幼い子どもがいる家族だけでなく、高齢者の方々にとっても大きなメリット。

総人口の約3割が高齢者(65歳以上)という今の日本において、短期間で完了する直葬は、高齢参列者の身体的負担を抑えられる点もニーズに合っていますね。

故人とのお別れに時間を当てられる

身内が亡くなって間もない時期は心の整理がつかないことも多いもの。スケジュール管理や関係者への連絡、弔問者の対応など雑多な用事に追われることなく、故人との思い出を振り返ったり、故人のご冥福を祈る時間に費やせる点は直葬のメリットと言えるでしょう。

直葬・火葬のデメリット

直葬・火葬のデメリット

遺族にとってメリットが多い直葬ですが、一方で「もっとこうしておけばよかった」と後悔するケースも。時間が経過してからも遺族が後悔の念で苦しまないよう、3つのデメリットを確認していきましょう。

お別れの時間が短い

葬儀場によっては火葬まで1時間ほど面会時間を設けているプランもありますが、一般的に5~10分程度でお別れすることが多い直葬は、大切な人の顔を見て静かに別れを告げるといったゆとりの少なさがデメリットとして挙げられます。

費用の安さから直葬を選んだものの、「あっという間に葬儀が終わってしまった」という寂しさや、しばらく経ってから「故人を満足に見送れなかった」と後悔が残らないよう、費用面だけで即決せず、周囲とよく話し合って決めましょう。

弔問対応が発生する場合がある

親近者だけで葬儀を行える気楽さがメリットの直葬ですが、訃報を知った故人の友人・知人や遠い親戚が後日弔問に訪れることも少なくありません。一般的な葬儀では一度に弔問対応できるのに対して、直葬の場合は後日その都度対応しなければならないため、かえって負担になる点もご承知おきください。

香典による収入が得にくい

直葬では、一般的に香典は不要です。そのため、他葬と比べて香典による収入は期待できません。

一般的な香典は地域にもよりますが、一人あたり5,000~1万円と言われています。つまり仮に100人が平均7,000円の香典を持って弔問に来られた場合、約70万円の香典収入が入るわけです。香典収入のうち3分の1は返礼品で差し引いたとしても、残った金額で葬儀費用を賄うことができ、経済的に大幅な軽減につながることも。

直葬で起こりやすいトラブル例

直葬で起こりやすいトラブル例

直葬は新しいスタイルのお葬式だからこそ、従来の葬儀が定着している人との間でトラブルが発生することも珍しくありません。今後もお互い気持ちよく暮らしていくためのマナーとして、予想されるトラブルを事前に知っておきましょう。

菩提寺から納骨を断られる

直葬を行う場合、菩提寺(先祖の墓があり葬礼・仏事を営む寺)に説明をしておかなければ、納骨を断られることがあります。

菩提寺から納骨を断られた場合、一般的には公営墓地や納骨堂に納骨することになりますので、先祖代々が眠る菩提寺がある人は直葬よりも従来の葬儀の方がスムーズでトラブルが少ないかもしれません。

親戚や周囲から反対される

直葬はここ数年で一般化してきているとはいえ、多くの葬式を経験してきた世代の人たちにとっては簡素すぎる葬儀スタイルに抵抗があり、反対されることもあります。

特に地域によっては宗教的な法事を行わないことがご法度とされることもあり、「予算の関係で」という説明では納得してもらえないケースも。特に交友関係が広かった故人の友人や親戚への配慮は必要です。

直葬で後悔しないためのポイント

直葬で後悔しないためのポイント

費用や時間、参列者への対応の煩わしさを軽減するために選んだ直葬なのに、周囲への理解が足りずかえって面倒になるケースも。後悔しないための第一歩として、親戚や菩提寺との良好な関係を築くポイントを押さえておきましょう。

親戚に事前の説明をする

従来のお葬式といえば、通夜・告別式・葬式の3ステップが当たり前。

一方、直葬は火葬がメインの簡素化スタイル。一般葬が当たり前だと考えている親族にとってはシンプルすぎることを非常識と感じたり、故人ときちんと最後のお別れをしたい方もいるかもしれませんね。

直葬を選んだ理由(経済的な理由・スケジュールの都合・故人の生前からの希望など)を事前に説明して、親族の反応も見ながら決めると良いでしょう。もしどうしても直葬に反対する親戚がいたら、ケースバイケースとして以下のことを相談して決めるのも良いかもしれません。

  • 参列者としてどこまで呼ぶか
  • 葬儀後、弔問の機会やお別れ会を設けるか
  • 香典や供物を受け取るか
    など

菩提寺に相談する

葬儀に関する一連の流れを行わない限り納骨が許さないケースもありますから、菩提寺に直葬の相談・了承を得ておくことは必須です。

宗教儀式を行わない(僧侶による読経を行わない・戒名を与えない)ことを説明するだけでなく、代々続く先祖の墓を今後どうしていくか、今後の流れや相続についても相談しておくと安心ですね。

ご遺体の安置所を決めておく

遺体の取り扱いについては、法令上故人が亡くなってから火葬までは24時間あけることが必要です。病院や老人ホームで亡くなったとしても、病室などで長時間安置してもらえませんから、葬儀社と相談して、自宅で安置するか葬儀社の霊安室に安置するかを決めておきましょう。

自宅の場合でも、葬儀社が必要な処理をしてくれます。葬儀社に安置する場合には、葬儀社に全て任せるか、遺族が付き添うかによって費用も変わりますので、事前にプラン内容の打ち合わせをしておきましょう。

直葬を行う注意点

直葬を行う注意点

直葬を挙げても、役所から葬祭料などの補助金が支給されない場合があるので要注意。

国民健康保険や社会保険・共済組合に加入している人は、以下のような葬祭料が請求できますが、直葬を行った後に葬祭料の申請をしても葬祭料が支払われなかったというケースも。

項目金額
埋葬料各5万円
家族埋葬料
埋葬費埋葬料の金額の範囲内で、埋葬にかかった金額を給付

直葬・火葬式は「葬」「式」という字が付いてはいますが、「葬祭費」本来の用途である祭儀をしていないという理由から、支給対象外と解釈されます。さらに保険料未納分が納付期限を大幅に超過している場合も、葬祭費の支給申請そのものが通らないケースもあるため注意しましょう。

直葬が向く人・向かない人

直葬が向く人・向かない人

向いている人向いていない人
  • 経済的負担を抑えたい人
  • 遺族に高齢者がいる人
  • 故人が生後間もない場合
  • 弔問客が少ないと想定される場合
  • お別れをゆっくり落ち着いてしたい人
  • 弔問客が多いと想定される場合

 

近年増加している直葬ですが、当然のことながら誰にでも向いているわけではありません。遺族を取り巻く環境を優先して決めてください。

向いている人

向いている人は、金銭的・時間的に余裕がない方をはじめ、長時間の参加が難しい高齢者の遺族。また、故人が生前あまり人付き合いをしていなかった場合は、弔問客が少ないと予想されますので、直葬を選んでも人間関係のトラブルが発生しにくい点でおすすめと言えるでしょう。

さらに生後間もなく亡くなった赤ちゃんは、両親の精神的なダメージが大きく葬儀の準備が難しいため、身内だけで静かに死者を弔うことができる直葬が向いています。

向いていない人

ゆっくり故人様とお別れの時間を作りたい人にとっては、面会時間が短すぎる直葬はあまり向いていません。また、故人が生前、友人やご近所付き合いが多かった場合も弔問客が多い可能性があるため、直葬はあまりおすすめできません。

直葬・火葬の費用でお金がないときは?

直葬・火葬の費用でお金がないときは?

生活保護を受けている人は、生活保護法第18条によって国からの最低限の葬儀費用の補助(=葬祭扶助制度)が認められており、申請すれば火葬費用の自己負担はありません。

葬祭扶助制度とは、遺族が経済的な事情により葬儀をおこなうことができない場合に最低限度の葬儀ができるよう、自治体が費用を負担してくれるもの。

支給される金額は地域や世帯状況によって異なるものの、基本的には遺体搬送・安置・火葬(埋葬)にかかる最低限度の費用が支給されます。申請するには、以下のいずれかの条件が必要です。

  • 遺族が生活保護を受けるなど生活に困窮している場合
  • 扶養義務者がおらず遺族以外の方(家主・民生委員など)が葬儀を手配する場合

直葬を自分で行うには

直葬を自分で行うには

貧困が深刻化する現代の日本において、葬儀費用が支払えない人も増加している模様。葬儀費用をなるべく抑えるため、巷ではDIY葬儀という言葉も出てきています。

実際にDIY葬儀(直葬)を行う場合、自分でできる部分と専門家に施してもらう部分がありますので、注意点や流れについて詳しく見ていきましょう。

無宗教による葬儀になる

先祖代々の墓地に納骨したい場合は菩提寺に読経をお願いする必要がある一方で、直葬は無宗教の葬儀となりますから、菩提寺がない人にとって直葬はおすすめと言えます。簡素ながらも伝統や風習に縛られることなく、故人らしさを演出した自由なスタイルで執り行えます。

菩提寺がない場合は公営の納骨堂などに遺骨を納めることになりますが、費用を安く抑える方法として、遺骨を粉状にして海や野山などの大自然に還す「散骨」という方法もあります。

出血や感染症のリスクがあるので推奨はできない

ご遺体をそのままにしておくと、鼻や口、耳、肛門などの穴から体液が漏れてしまうため、綿などを詰めたり体を拭き取ったりする死後処置(エンゼルケア)が必須ですが、出血や感染症のリスクなどの不安があるため、素人だけで行うのはあまりおすすめはできません。

エンゼルケアの後に行うエンゼルメイク(死化粧)は、専門家と遺族が一緒に行うこともあるようです。

DIY葬儀の流れ

        • STEP1
          エンゼルケアを行ってもらう
          死後処理を行い、着替え・死化粧などをしてもらいます。
        • STEP2
          ご遺体を搬送する
          死亡診断書があれば、個人で移動・搬送することも可能。ただし、遺体は「貨物」扱いになるため、タクシーの利用は禁止。レンタカーを借りる場合は、会社の貸渡約款に遺体の搬送を禁止する旨がないかをよく確認しておきましょう。
        • STEP3
          ご遺体を安置する
          ドライアイスを遺体の顎の後ろ・腹部・両脇に当てて安置します。夏場はクーラーなどを効かせて、しっかりご遺体を冷やしましょう。
        • STEP4
          火葬場の予約を取る
          火葬炉の数には限りがありますので、早めに予約しましょう。予約は、葬儀社が行います。

直葬の流れ

直葬の流れ

        • STEP1
          ご遺体を搬送する
          亡くなった場所(病院・老人ホームなど)から自宅または斎場にご遺体を搬送します。
        • STEP2
          ご遺体を安置する
          自宅または斎場の安置場所にご遺体を安置します。一般的には2~3日間(最低24時間~)
        • STEP3
          火葬の手続きをする
          自治体に「死亡診断書」または「死体検案書」と「死亡届」を提出し、「火葬許可証」を申請します。
        • STEP4
          納棺・出棺
          ご遺体に死装束を着せて棺に納め、棺を霊柩車に運び火葬場へ。火葬場にて焼香・火葬・骨上げを行います。
        • STEP5
          法要を行う
          直葬では宗教上の明確な決まりはありませんが、区切りとして初七日法要や四十九日法要を行うことも。四十九日法要に納骨を行う場合が多いです。

直葬の費用相場は30万円前後

直葬の費用相場は30万円前後

直葬の費用相場は30万円前後となっており、一般葬と比べてもかなり安価に死者を弔うことができます。社会的背景から今後も直葬を選択する人は増加していくでしょう。

直葬は安価でありながらも、故人様に「ありがとう」の気持ちを届けることは可能。供養の本質は何かを考えると、どれだけお金をかけたかよりも「どれだけ心を込めたか」という考え方に尽きるのではないでしょうか。

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