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お経をあげないと成仏できない?自分でお経をあげる方法も解説

お経をあげないと成仏できない? Q&A

お葬式でお経をあげないと成仏できないという概念は、現在でも日本で幅広く知れ渡っています。様々な事情でお葬式にお坊さんを呼べないため、お経をあげられない人がいる現実も今や大きな問題に。

お葬式では、なぜお経をあげることを重要視するのか、家族や遺族はお葬式に参列する前に知っておくべきでしょう。あなたの家族が未練なくあの世へ行くには、どのような作法が必要なのでしょうか?

お経をあげないと成仏できないのは本当なのか、お経をあげれないときのための対処法と共に事実と根拠を本記事が切り拓いていきます。

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お経をあげないと成仏できない?

お経をあげないと成仏できない?

お経をあげなくても故人が成仏できるかどうかは、遺族の捉え方次第です。法律の観点や物理的な観点から、「お経なしでは成仏できない」という結論は一切出ていません。

見送る人の気持ち次第

直葬や火葬といったお坊さんのいないお葬式でも、遺族によっては「家族全員でお見送りできたから故人も成仏できたはず」と前向きに捉える方もいらっしゃいます。昨今は家族葬で音楽葬などの無宗教葬を執り行う家庭もあり、読経にこだわらず宗教上の儀式を重視しないお葬式すら存在するのです。

お経に囚われる必要はない

読経しないからといって故人が成仏できないという根拠はなく、遺族が満足できるお葬式を挙げられれば、故人への弔いは問題なく実施されます。もし経済的な問題でお坊さんをお葬式に呼べずお経をあげられなくても、故人の成仏を過度に心配する必要はありません。

仏教で唱えられる

読経が重要視されるのは、仏教のみです。キリスト教や神道ではお経をあげるという習慣がないため、もし故人がキリスト教であればお経をあげられなくても気にしなくで大丈夫です。

納骨時の注意点

寺院の檀家になっている人は、戒名を授与されなければお墓に納骨できないので注意が必要です。戒名が不要なのは納骨をしないケースや無宗教のケースみと覚えておきましょう。

直葬でお経をあげてもらうことは可能?

直葬でお経をあげてもらうことは可能?

火葬や直葬でも、お経をあげることは可能です。火葬は金銭面の負担も少なく、通夜や告別式を行わないため拘束時間が短くなり、参列者の精神的ストレスの軽減を手助けしてくれます。その反面、お経なしのお葬式なので、故人が苦しみや悲しみから脱せず成仏できないと不安に思う遺族も多いでしょう。

もしあなたが直葬を挙げるとしても、僧侶を読んでお経をあげることはできるので安心してください。直葬だから故人を供養できないということは、ありえません。

僧侶に読経を依頼する方法

お坊さんに読経を依頼する際には、菩提寺の有無が大きく関係します。

菩提寺とは先祖代々お付き合いがある寺院のことです。以下で、菩提寺がある事例と菩提寺がない事例に分けてお坊さんに読経を依頼する方法を表にまとめました。

項目 内容
菩提寺がある
  • 菩提寺に喪主が電話で連絡する
  • 連絡の際には故人の名前や亡くなった日時を伝える
菩提寺がない
  • 葬儀社に依頼する

菩提寺があるご家庭は、まず最初に菩提寺に連絡しましょう。菩提寺に連絡する際には故人の情報を事細かに伝えます。亡くなった日時や享年、喪主の連絡先など、故人がどのように最期を迎えたかお寺側が把握しやすいように伝播しましょう。僧侶の予定を聞いて、お葬式の日程調整を進めていきます。

菩提寺がないご家庭は、葬儀社に読経を依頼しましょう。葬儀社は様々な寺院とつながりがあり、僧侶の手配も手伝ってくれます。葬儀社の担当者に菩提寺がないことを伝えれば、円滑にお坊さんの紹介に進むでしょう。

直葬における読経のタイミング

直葬にお経をあげることが決定したら、火葬場か安置所で読経してもらいましょう。火葬場でお経をあげるケースと、安置所でお経をあげるケースの読経タイミングや注意事項を下記で説明します。

読経場所 タイミング
火葬場
  • ご遺体を火葬する前の約5分間
  • 火葬炉の前でお経をあげる
  • 読経をするとお別れの時間が短くなるので注意
安置所
  • 安置所や遺体預り所でご遺体を預かってもらっている間の約10分間
  • 故人との別れの時間を長く確保したい遺族には安置所での読経がおすすめ

火葬場はご遺体を焼却する場所なので、長居はできません。お経も5分間と短めに詠まれます。安置所であれば、故人の安らかな寝顔を見守りながらお経をあげることが可能。ご遺体を安置するのは病院や葬儀社の遺体預り所が一般的です。故人のご遺体が荼毘に付される前に最期の挨拶をじっくりしたいなら、ご遺体が安置されている場所でお経をあげてもらいましょう。

お経で成仏すると考えられる理由

そもそもお経で成仏するのはなぜ?

お経で成仏するのはなぜかという疑問は、仏教における考え方に由来します。お経をあげてから49日までは無成仏という掛け軸を祀るなど、成仏という概念は仏教で故人を敬う気持ちとして、とても重要視されています。

お経をあげることで故人が成仏するのはなぜなのか、様々な観点から切り込んでみましょう。

成仏の意味

成仏は、煩悩を消し去り悟りを開いた状態を指します。悟りを開いた釈迦は煩悩を断ち切ることで苦しみの渦を脱し、仏陀になれました。釈迦が仏陀へ変貌し悟りを開いて、全てから解放された状況から成仏という言葉が生まれたのです。

具体的に、以下の状態を成仏しているといいます。

  • 死んでこの世に未練を残さず仏となること
  • 煩悩を断って悟りを開くこと

単に死ぬことを成仏と呼ぶケースもありますが、本来成仏は宗教と大きな関わりがあります。

お経の意味

お葬式をお経をあげるのは、故人のためだけでなく現世に残された遺族のためでもあります。お経は抑揚のないトーンで難しい言葉を羅列しているので、聞いている側は「お経は意味ないんじゃないか」という口コミや投稿もありますが決してそんなことはありません。

お経には悟りを開いた釈迦の教えが綴られており、釈迦の言葉を用いて大事な家族を失った遺族の苦しみを和らげ、家族の供養の気持ちを故人に届けやすくする役割があります。

お経をあげられた故人は、スムーズにあの世へ渡ることが可能。読経は三途の川の向こう側と現世に残された人々、どちらの幸せにも通じるのです。

お経と成仏の関係

お経をあげなければ成仏できないという根拠はなく、お経と成仏には現実的な関連性がないといえます。あくまでも遺族の受け取り方次第なので、お経をあげなくても家族が「故人を十分弔えた」と思えば、その時点で成仏したと言い切ることができるでしょう。

宗派によってはお経をあげなくても故人が成仏するという考えが根付いていますが、仏教では読経をもって故人を供養するという考えがセオリーです。仏教だから絶対お経をあげなくてはいけないという規則はありませんが、気持ちとしてなるべくお経をあげることが好ましいでしょう。

お経をあげないと成仏できない理由

成仏できない理由

お経をあげないと成仏できないといった考え方の背景には、故人の死に対する考え方や受け取り方が密接に関わっています。あくまでも世間で俗説的に言われている理由であり、仏教ではこれから紹介する「成仏できない理由」を説いていません。

亡故人が成仏できない霊になって彷徨うことを避けたいなら、世間一般に普及している成仏できない理由を知って、お経の重要性をしっかり把握しましょう。

故人が自身の死に気づいていない

お経は、故人とあの世を繋ぐ役割を持っています。お経を読まないことで故人が自身の死に気付かず、現世を彷徨ってしまうリスクがあるのです。

成仏できない人の魂は行き場を失い、地縛霊としてこの世に居座り続けます。天寿を全うしたことを意識させるためにも、お経をあげて成仏することが大事なのです。

故人が未練を持っている

故人が成仏できない理由として、この世に未練を持っているというものも挙げられます。未練を持っていて成仏できない霊は、浮遊霊になり死後も苦しむことに。

死を受け入れられず現世とあの世の狭間を彷徨うのは、故人にとって苦しいことこの上ありません。お経で故人の未練や悲しみを癒し、故人に気持ち良くあの世へ歩み出してもらいましょう。

成仏できないとどうなる?

成仏できないとどうなる?

成仏できない人は、魂だけがこの世に残り、霊となって現世を彷徨い続けます。

お経をあげて成仏させてあげない限り、故人は仏教の極楽浄土に生まれ変わることができません。煩悩や悲しみから解き放たれ、未練を持たず自身のありのままの姿になるこが成仏。自身の死を受け入れられず、あの世へ渡れない状況では、幸せな最期を過ごしたとは言い難いのです。

成仏できない人の霊は、いわば現世とあの世の狭間の迷子。遺族が故人の道案内をするには、お経で成仏を促すことが大事なのです。成仏できないとどうなるのか心配な人は、故人があの世へ渡りやすいよう、弔い気持ちを忘れないことを心がけましょう。

自分でお経をあげるには

自分でお経をあげるには

もしお坊さんを呼べなくても、自分でお経をあげる方法はたくさんあります。お葬式に関わらず月命日の法要などお経をあげるべき日は、定期的に訪れるでしょう。毎回お坊さんを呼ぶのは、少し手間がかかります。

お寺や公共施設の力を借りれば、お経をあげて自分の力で故人を成仏させることが可能です。

お寺に作法を教わる

あなたの近隣に、題目やお経を唱えるイベントを行っているお寺があるかもしれません。もしお寺でお経を唱えるイベントを開催しているなら、作法を教わってお経を自分であげましょう。

東京都新宿区の大乗山経王寺では、会費2,000円でお経や題目を一緒に唱えるイベントを開催。本家本元の作法を教わり、故人へ感謝と敬いの気持ちを込めてお経をあげてみてはいかがですか?

図書館でCDを借りてくる

自治体の図書館では、CDの貸し出しを許可しているケースが一般的。図書館のホームページで自身の宗派を入力すると、お経のCDが出てきます。貸し出し可能かホームページでチェックできるので、もし貸し出し許可が出ているならレンタルして自宅でお経を流してみましょう。

オンラインの講座を受ける

あくまでも一例として、オンラインで読経法を学ぶという手段もあります。直接お寺に行くのは少し億劫という方は、参加費を払ってオンラインで読経口座を受けるのも良いでしょう。

まだあまり世間の浸透していないオンライン読経口座ですが、自宅にいながら手軽にお経のあげ方を学べるのは有難いものです。オンラインなら距離も問わないので、気になる読経口座があればぜひ参加してみましょう。

お経をあげないと成仏できないかは遺族の受け取り次第

お経をあげないと成仏できないかは遺族の受け取り次第

お経をあげることで故人が成仏するというのは、あくまでも遺族の受け取り方の問題です。どうしてもお坊さんを派遣できないなら、お経をあげなくても故人が眠りにつくことはできるので安心してください。

お経をあげたい気持ちが強いなら、お寺のイベントに参加したりCDを借りるなど代替的な案はいくつかあります。もしあなたが自分の力でお経をあげてくれたら、あの世の故人も嬉しい気持ちで満ち溢れるでしょう。

成仏できない人の魂は、この世を彷徨い続けることになり天寿を全うした意味を為しません。一生懸命生きてきた家族や友人に成仏してほしいなら、お経を重要視するのではなく「あの世で楽に生きてほしい」という弔いの気持ちを大事にしてお葬式に臨むことが大事です。